翼

クリード 炎の宿敵の翼のレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
3.4
自分が『ロッキー』を観ていることを忘れるくらい、前半は冗長なボクシング映画。もうしゃーないんだけどマジでワンパターンよね。チャンピオンになってハングリーさを忘れてボコられて、これはアカンと目が覚めて汚いジム(今作は砂漠w)で日用品トレで鍛え直す…ロッキーシリーズを追いかける中で3回は見たぞこのパターン。高級ジムの施設より廃タイヤ使ったトレーニングの方が"効きそう"という、前時代的価値観もそのまま。やったぜ!
で、このまま終わらないところも『ロッキー』なんだよな。秘策とか必殺技とかではなくて、不屈の精神一本なのよな。そこはワンパターンで一向に構わない。その様を見る度に人は無条件に奮い上がり、あのBGMで思い出す。「あぁ、俺は今ロッキー作品を観ているのだ」と。

30年前のアポロvsドラゴ戦、神格化してるけど、アポロの舐めプのせいでビンッビンの死亡フラグの下に行われたエキシビジョンマッチみたいなもんだったからな。そう考えるとクリードくんは似ても似つかないほど真面目。普通に一作目ホワイトカラーだったしね。


ドラゴはウクライナのキエフ出身。作中でも、未だにとんでもない体制下にある風刺は効いてた。いなくなった貴族の母親が都合良く擦り寄ってくるとことか。『ロッキー4』でのロッキーバルボアは、永い永いドラゴとのファイトのあとにマイクを握り「変わることができる」とソ連の国民に向けて説いた。この試合はアポロの報復ではなく、ドラゴとの純粋なボクシングなのだと。競技を通じて、しがないボクサーだった自分も変わることが出来たと演説し、敵地でロッキーコールを起こした。その魂は、アポロの墓前で息子が同じ言葉を口にし継承されたことが証明された。
今こそ、ロッキーのような不屈の精神と歩み寄りが必要な時だよ。
翼