てつこてつ

ガチ星のてつこてつのレビュー・感想・評価

ガチ星(2018年製作の映画)
3.3
自分が邦画を見ていなかった頃のヒット作を見たい・・という事で、「海猿」を探していたら、Netflixの検索結果で何故か引っかかってきて、スポ根物は好きなのでとりあえず鑑賞。

スポ根とは言っても、若者が主人公ではなく、中年のオッサンの人生再起の物語。正直、殆どが知らない役者さんばかりで、後でWikipediaで調べてみたら、元々はテレビ西日本放送製作の4話完結の連続ドラマで、それを再編集して映画版にしたとの事。

よって、出演者も福岡に馴染みのある俳優で固められているようだが、主役の安部賢一が、驚くほど役にハマってる。落ち目でクビになったプロ野球選手が40代に差し掛かろうとする年齢で競輪学校に入学する設定なのだが、プロ野球選手時代のシーンの福岡ソフトバンクホークスのユニフォームもしっかり似合ったガッチリした体格は、競輪学校での過酷なトレーニング風景でもそれなりに通用する見事なもので、こういうテーマの作品では主役の体格が貧弱だと、それだけで醒めてしまう部分も多いので、彼のキャスティングはお見事。調べてみたら高校時代はラグビー部、お父様が競輪選手で、自身も競輪学校入りを目指したが怪我で断念したとか。

一部の野球選手あるあるの喫煙、酒癖や女癖の悪さ、ケンカっ早さ、パチンコにハマる堕落した部分の描写も実にリアル。

彼と対比するような形で描かれる若き有望選手を演じた福山翔大も、この作品で初めて知ったが、あれだけ端正な顔立ちなのに、しっかりと役に合わせた丸刈り、身体作りをしており、今後の活躍が楽しみ。

競輪学校のシーンでの同級生役の俳優陣も見事な体格で説得力あり。

日本競輪協会全面協力な為、終盤のレースシーンの描写も実に迫力がある。ただ、前述した通り、元々は4話構成の連続ドラマの再編集の作品であるため、競輪学校のシーンはもっと長くても良かったし(あれだけ成績悪くてプロ合格?)、エンディングがあまりにもアッサリ過ぎるのが勿体ない。

あと、福岡が舞台の作品ということで、ひょっとしたら出てくるんじゃないかとビクビクしていたら、案の定の博多華丸。“特別出演”にしては、結構、出過ぎで、芸人さんでも演技を達者にこなす人は沢山多いことは分かっていながらも、博多華丸は、やはり濃すぎるって。

これ、実話かなと思い調べてみたら、具体的な選手の実話を描いているわけではないみたいだが、プロ野球から競輪に転向した選手が意外と沢山いる事実に驚き。プロ野球選手は瞬発力が命の体力お化けだから、まあ、納得も行く。

競輪学校の入学に年齢制限無いのも初めて知った。
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