このレビューはネタバレを含みます
#twcn
もの凄く完成度の高いホラー作品であり、良く出来ている映画であり、しかも良い話だった!!
アニャ・テイラー・ジョイの気高さと強さと優しさよ・・・もうこういう天使役鉄板!!
これ日本の宣伝の仕方もいいと思います。
ホラーで売って正解。
予告編にちゃんとミア・ゴスの叫び顔も入ってるし、「衝撃結末を目撃する」ってありがちな煽り付いてますけど、この映画に関してはその通りです。
我々は常日頃、斜め上のそのまた右端から手を突っ込んで作るような変態ホラー映画を量産するスペインに絶大なる信頼を置いている。
そんなスペインからまた新たなクラシックが到着。
これは間違いなく今後、スペインホラーを語る上で重要なターニングポイントになる作品。
スペイン、アメリカ合作で、アメリカに移住して来たイギリス人一家の話なのにオールスペインロケで作られた映画というのも先日見た「モースト・グレイトフル・アイランド」と比べると雲泥の差ですね!
2017年映画ってマジか・・・2017年にアニャ・テイラー・ジョイの見た目こんなに完成されてたのかw
ということは、ミア・ゴスも「サスペリア」より前だし、ジョージ・マッケイくんも「キャプテン・ファンタスティック」のすぐ後という事になりますよね。
そしてデイン・デハーンの劣化版(そもそもデイン・デハーン本人が別の意味で劣化している件)と名高いチャーリー・ヒートンと若手俳優の活躍が眩すぎる!!
ジョージ・マッケイくんてさ、あのゴミみたいなスコットランドミュージカル映画「サンシャイン」のお兄ちゃんの印象強いけど、歌も歌えて、アクションも結構出来ますよね?
いやーこれからの活躍が楽しすぎる!
ミア・ゴスのあの叫んだ瞬間の顔、最高よね。俺たちの好きなミア・ゴス!って感じ。
そこから物語は始まったあ!
6ヶ月後じゃなかった!!
つっ、つらすぎる!
ううう(T . T)
私最初はマッケイくんしか外の人と交流してないから、実は父親に罪をなすりつけて殺した犯人お前じゃね?って思ってました。
お門違いも甚だしい!!
ごめんね!本当にごめんね!!
もうマッケイくん凄く頑張ってるのに!頑張ってるのに!がんばった、のに・・・。
長男だから自分を責めちゃうよね・・・大好きな兄弟と、甥っ子であり、孫であるサムに気付いた時、かなりショックを受けました。
あの最初の雑に並べた、へたくそな人形を見て微笑みながら「OUR STORY」を笑顔で書き始める彼。
あれには真実が書いてあるんだよね。
アレを書いている瞬間とアニャといる瞬間は現実的に考えていて、それ以外の時間はみんなで暮らせてたんだ。
誰がなんと言おうと幸せな時間なの!!
鏡を見ない理由は真実を思い出してしまうから。
サムはミア・ゴスの子供ですよね?
親父との間に生まれた。
上と3人とここまで年が離れてるの納得した!
それも新聞記事、そして彼女の一言のセリフで全部汲み取れる!
うわあ!!
4人兄弟の話じゃなかった、瞬間・・・。
そして、真実を知ってから、4人の楽しそうな時間を振り返るとすべてのシーン思いを馳せすぎて涙が止まらない。
お兄ちゃん、良いんだよ・・・自分の壊れてしまった心を守るために、生きるために、弟と妹と甥っ子に頼って良いんだよ?
頼って良かったんだよ・・・だって頼ってなかったらアニャ・テイラー・ジョイと付き合えてないでしょ?!
しかも、力仕事、ケーキ作り、刺繍にペンキ塗り、お絵かき、全てこなせてるの何気スペック高くないっすか??
確か「永遠の子供たち」の脚本家ですよね?
アレってスペインてよりはメキシコイメージ強かったけどそんなこともないのかな?
イギリスからアメリカの母の生家(超でかくてボロい)へ父親から逃げてきた家族。
父親は「サイテー野郎」「あいつに見つからないところに逃げてきた」「死んだ」「生きてるかもしれない」とかなり曖昧にヤバイ奴、としここにサスペンス要素を入れ込んでおります。
そして後々明らかになる父親の行動、そして屋根裏の秘密ではサイコスリラー風味。
お父さん若くね?
対してお母さんババアだったくね?
そして一番はホラー映画として売っているので、その観点から見ても大変素晴らしい。
鏡、広いお屋敷の屋根裏、白い布を被ったお化け、というわかりやすいアイコン。
カメラのショットが絶妙なんですよね。
サムがママンの部屋に勝手に入った時がわかりやすくて、サムは生前はよくこの部屋に入ってたからどこになにがあるかわかる銅線で動きます。
部屋に何がどこに置かれているかを全てきれいに収めてくれるので、あそこも怪しい!ここも怪しい!
ベットの下なにもない、クローゼットの奥が暗い、鏡には布がかけられているのみでしかとその布を利用して上記お化けを作れる巧みさ。
そしてサムを撮るときにその全てが映るように、かつサムの手前にベッドの支柱が横切ります。
この瞬間にカットが切り替わるように見えるため、この支柱の動きに合わせて何かが起きるかも?!
というドキドキ期待感ハンパない。
ゴーストが出てくる(厳密には妄想)からホラーではあるんやけど、大好きな人のゴーストなんです。彼らが死んだ現実が受け止められないお兄ちゃんが作り出したゴースト。
皆さんも思うことないですか?
家族や友人が亡くなった時、ゴーストでも会いたい、と言う気持ち。
私はあります。
そして、ゴーストは1人悲しみと自身を責めながら生きるお兄ちゃんの心の支えになり、死んだと自分に言い聞かせていた父親が生きていて、それが脅威となります。
人間の方が怖いよねってのとはすこしちがうね、この場合。
このお父さんヤバすぎる・・・13人殺してるって絶対嘘でしょ・・・60人は絶対殺してる・・・。
との対峙。
今までだって機会はあったのに、このタイミング。
なぜなら・・・。
一応、悪者として描かれる、アニャに横恋慕の若手弁護士。
この人別に悪い人じゃないでしょ!
アニャに対するアプローチは相手を思いやってるし、そら、お兄ちゃん邪魔やろうし、就職関係のあの話最悪・・・詐欺やん!
もう後戻りできない!と思って極端な行動に出ますが可哀想に(T . T)
そして、モールス信号で交流を始め、OUR STORYを読み、真実を知ってお兄ちゃんに会いに行くアニャ。
お兄ちゃんを責めないし、自分にも3人が見えてるよ、でも私も見て!とパニックを起こしてるお兄ちゃんをなんとかなだめようとする。
そして、別に好きでもない知り合いの弁護士の心配をして屋根裏に上がり・・・負けるわけないやろ!なめんなよ!と言い放つアニャに後光が差していたのは言うまでもない。
アクションで人を救う女ヒーローも大好きですが、精神的な強さで救う女ヒーローも大好きです!
そして、いよいよお兄ちゃんは自分の殻を破り、父親と対峙します。
愛する人を守るために。
これは通過儀礼の話でもあったんですね・・・。
ほんまにあるか知らんけど1万ポンド・・・。
アニャが働いてるし、庭に野菜あるし、家は自分のものだから田舎ならなんとか暮らせそう。
「アリーも一緒に住めたらいいのに!」と無邪気に言うサムの言葉がまたここで蘇り、そうなったよ!サム!アリーが一緒に住んでくれるよ!良かったね。願いが通じたね。と心底嬉しくなりました。
と、このようにホラーに見せかけて、実はサスペンススリラーで、お父さんの不死身さはもはやモンスターだし、長男の秘密はサイコだし、恋模様もあり、それに嫉妬する弟もおりw父親に子供を産まされたミア・ゴスも楽しそうに生活する本当に素晴らしい家族を襲った悲劇。
最後にはボロボロになったお兄ちゃんが愛する人のために自分の殻を破り、そしてその人からも愛され、あの写真入れ映る自分の姿を笑顔で見れるようになることでまた1つ成長しており、ここでやっと、彼の中で悲しみより愛が上回った瞬間でもあります。
そして、愛する者を失った事実を受け入れないこと、新しい愛を享受すること、この2つが大好きな人の思い出を忘れないよう生きていく、という意味において共存できる、とする結論も好きです。
アニャが精神科医にお兄ちゃんを診せるけど(多分おとん殺してるから義務的に?)処方された薬を飲ませない姿勢もほんとすごい。
彼女もお兄ちゃんと同じで、3人に消えて欲しくない。
信じてるし願ってるんです。
3人はまだ一緒にいるよ、それでいいんだよ、と。
原題「marrowbone」というタイトル!!
ラストのとこで気付いたけど、最初から複数形じゃないやん!
どこまで完璧なんだ!!
いやーまだ書き足りないくらい本当に素晴らしい映画!!ぜひ迷ってる方やホラー苦手、という方にもオススメです!!
ってネタバレ感想に書いて効果あるんだろうかw
本質は愛、なので。
新
日本語字幕:佐藤 恵子