さよこ

バイスのさよこのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.0
うーん…3.0点!(›´ω`‹ )

時代が古いのは分かる。
でもさ、演出まで古くする必要ないんじゃないかなって思うんだよね。

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ここから下は不満レビューになるので未見の人はご注意くださいmm

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冒頭にもいったんですが、一番の難点は
いちいち演出がうるさいところ。意味のない演出が多いというか、それでなくても情報量が多いのに、演出の力を借りて情報をスマートに見せようという気概が感じられないから余計に情報処理が追いつかない。

主人公の政治活動における半生を「こんなことやりました」「あんなことやりました」が表面的すぎて、主人公の魅力や政治手腕を知る機会ではなかった。これだとメインで描きたかったベトナム戦争のインパクトがぼやけちゃうんだよね。

交渉が飛びぬけて上手なエピソードを入れたり、彼を取り巻く頭脳班が彼に協力的な理由とか散々長いVTRを見せられてもピンとこなかった。時間の使い方がもったいないと感じた。前半1時間を返してほしい。

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この映画が誰をターゲットにしているのかによるけど、少なくとも海外層をターゲットにしているようには思えなかった。かつての政策が次々と反対されたり賛成されたりするけど、その重要性とかどの政策を否決したらどんな層が困ることになるのかとか、そういう部分の一切を省略するからその判断が最良なのか最悪なのか観客がジャッジしにくい構造。

もっとアニメーションとか多様して知識ゼロの世代や国の人にもわかるような演出をして欲しかったし、ここは翻訳家の手腕が問われるところもでもあるんじゃないかと思った。

映画本編で補えないなら字幕と一緒に簡単な解説を付けたらいいのに。もしくは法律の名前を勝手にわかりやすいものに変えちゃえばいいのに。と、自分の無知を棚に上げて「分かりづらい」に尽きる映画でした。

この内容なら「世界アンビリーバボー」で再現VTR作ってくれたら十分事足りるし、もしくは池上彰さんに特番で解説してもらった方がいい(今日は辛口)

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個人的には実話を元にした映画は好きだしドキュメンタリーもモキュメンタリーも大好物。なんだけど今回の作品は「主軸となるエピソード」が散らばってるし、半端に家族のことを出すもんだから的が絞り切れてない。というかこれだけの独裁男が家族をすごく大事にしていたのは大きなギャップでもあるので、もっと家族の部分にフォーカスしてほしいと思った。

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特に主人公の奥さん。
旦那さんに発破かけ続けて、鼓舞し続けて、子育てしながら政治サポートもし、とんでもなく内助の功だと思うんだよね。

職業制限のある時代に女性に生まれてしまったから、旦那さんを通して夢を叶える疑似体験を得ようとしたのかなと思った。活き活きとした演説が印象的だった。

きっと主人公は、副大統領としての顔と家族に見せる顔は別のものだし、その辺のコントラストをもっともっと出しても良かったと思う。そのためには奥さんにフォーカスして奥さん視点で彼を描いても良かったんじゃないかな。よく分からぬ赤髭のおじさんが解説するよりよっぽどいい。

少なくとも彼の人生は一途に奥さんを愛し、また二人の娘にも愛された人生だったのだから。
さよこ

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