ウシュアイア

フード・インクのウシュアイアのレビュー・感想・評価

フード・インク(2008年製作の映画)
3.3
アメリカの大量生産、大量消費の食糧生産の現場を取り上げたドキュメンタリー。

高度に効率化した畜産業では、ニワトリやウシがモノとして扱われ、不健康な形で飼育されている。

鶏舎では、ニワトリたちが成長ホルモン入りの餌を食べ、通常の半分の期間で成長させられ、骨格や内臓は成長についていけておらず、ニワトリたちは三歩歩けば忘れる前に骨が折れてしまうほど。超過密状態の鶏舎はトリの糞と死骸にまみれ、トリにも養鶏業者にも不健康そのもの。養鶏業者は巨大食品企業との契約のために、借金を重ね、廃業することもままならない状態。

ウシは本来草を食べるのだが、高糖分のトウモロコシを食べさせられ、消化不良を起こしている。消化不良を起こした牛の腸内では危険な大腸菌が増殖し、一極集中した牛肉処理加工工場で汚染された牛肉が全米各地へと広がっていく。また、牛肉処理加工工場では、巨大資本によって農地を失ったメキシコの元農民たちが違法入国して劣悪な環境の下、働かされている。

その背景には、最大の買い手であるマクドナルドやウォルマートなどの巨大企業、またそうした企業と結託した政治家がブッシュ政権の農政ポストに就いているという・・・

高度に工業化された農業を見直し、オーガニックな食品を生産する農家の現場にも迫る。


アメリカの巨大資本が牛耳る鶏舎や畜産農場の現場を見せつけられ、思わず言葉を失う。

不衛生だとか不健康とかいう以前に、我々人類が食を考える上で最も重要な生命への畏敬というものが完全に失われている。化学の力をもってしても、未だ人間の栄養分である、タンパク質、脂質はおろかブドウ糖ですら無生物からつくりだすことはできず、人間が生きていくうえでは生命に由来しない物質だけで生きていくことは不可能にも関わらず、このウシやニワトリをモノとして扱うありさまは酷い。

一番強く感じる部分はそこなのだが、話はどんどん巨大資本やブッシュ政権へと話が進んでいく。そういう状況を作り出したのは巨大資本やブッシュ政権なんでしょうか?
後半ではフィーリングに訴えた部分と噛み合っていない。

(2011年2月21日)
ウシュアイア

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