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希望の灯りのらのネタバレレビュー・内容・結末

希望の灯り(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

音にも映像にも細やかに気を配っている映画は見ていて楽しい。映画と運動の相性の良さを再認識。フォークリフトの運動をとらえるカメラワークと構図が美しい。

序盤からしっかりと語られるわけではない主人公クリスティアンの背景が、余計な説明によってではなく想像力を喚起させる形で徐々に浮き彫りになっていく様に美学を感じる。これは現実世界で人物を理解するプロセスに似ているので、キャラクターがより生き生きと刻まれる。クリスティアンより更に語られることのない周囲のキャラクター達もそれぞれが「生きている」存在としてしっかり刻み付けられる。

この映画でも現実世界でも人物を理解するため、知るためには想像力を駆使するしかない。ブルーノの自殺は誰も予期できず突然訪れるが、前兆はある。耳をすまさなければ聞こえなかった波の音のように。大切なのは目を配ること、耳をすますこと、意識すること、それらを諦めないこと。
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