バス行っちゃった

映画 刀剣乱舞-継承-のバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

映画 刀剣乱舞-継承-(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

人を殺すという前提があるチャンバラはその業のようなものを表すためにどこか泥臭くなくってしまうものだけど、この物語の設定であれば殺陣の美しさを存分に追求していくことができるのだと知り、こういった試みの先に新しい時代劇が待っているといいなとワクワクしてしまった。

刀剣男子についてはそういうゲームがあるらしいという程度の認識だったが、他の人たちも指摘している通り序盤の情報整理の手際が尋常ではなく、また三日月宗近の佇まいによってコスプレ感もだんだんと薄れていったので、それでもまあ1999年の夏休みのような工夫がないと実写のショタはしんどいが、まああまり問題にはならなかった感じ。

ただ、最後の戦闘のみんな一緒に疲労演出や、一旦帰還で全回復、回復薬で仕切り直しといったゲーム的展開などについてはちょっと乗れず。

また、葛藤を相対化するために敵役として歴史上の人物を配したり仲間内にきちんと対立構造を設けているため物語の推進力に不足はなかったものの、時間遡行軍の側にも主人公たちと鏡像関係になれるようなキャラクター性があればこの先の展開も楽しみになるのになあとは思ってしまい、倶利伽羅江やたぶん無銘の斬馬刀のあいつなど、広げればいけそうなのが配置はされていたのにあんまり転がそうという気配がなかったので、ゲーム世界との整合性とかあるものなと納得はしつつも、もったいないなあと。

あと、まあ、代替わりした審神者が幼い女の子だったというのはゲームユーザーに対する目配せにしてもあからさまで、ともすると馬鹿にされているのではないかと思われかねないのではないかと他人事ながら心配にはなったのだけれども、この先も終わることのない戦いに身を投じなければならない生き地獄の中にいる刀剣男子たちを想えばああして子どもと戯れている姿の儚さにグッと来ざるを得ず、そうしたテーマ性を浮き上がらせる狙いもあったのだろうということでこれはもう。