ぬーたん

教誨師のぬーたんのレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
4.0
※追記あり。どうでもいい追記
大杉漣が亡くなってから1年経ったのが嘘みたい。
まだ66歳で、あまりにも突然の死に誰もが驚いてその死を惜しんだ。
出演作を改めて見てみると、その数とジャンルの幅に驚く。
『300の顔を持つ男』か、なるほど。
一生分の仕事をしてしまったようなそんな気もして。
さよならも言わずに去った名優は、永遠にあの健康的で優しい笑顔のままで残る。
ファンだったのかと聞かれたら、決してそうではなかったけど、好きだった。
それは4~5年前のテレビで突如好きになったの。
それまでは、ポルノ俳優でVシネマ俳優で、エロと暴力の印象があった。
それがいつの間にか、たけしに見出されたけしの映画の常連に。
次から次へと作品に出ずっぱりで、何でこんなに引っ張りだこなのかな?と不思議に思ってた。
邦画はあまり観ないから、もっぱらテレビドラマで観ていたが、お父さん役も最近は多く、どんな役も存在感があった。
4~5年前にたけしの番組で、サンドウィッチマンとコントをして(確か取調べ)それがサンドをも食う面白さで、驚いた。
以来、好きになった。
声がいい。低くてドスが効いてるかと思えば、静かに話すと優しさに溢れ透明な声。何故か、真っ先に思い出すのは、あの声だ。
今作は、主役としての遺作になった。そして自らがプロデュースした初めてで最後の作品だ。
『教誨師』という存在は私は違和感はなかった。自分は無宗教だけど。
プロテスタントの学校に行って、聖書を読んで(読まされて)たし、宗教画なども興味ある。亡くなった姉がクリスチャンで病院も葬儀もそうだった。
母は死んだらカトリックで葬儀して欲しいと言ってるし。割と身近かな。
舞台は拘置所の面会室。
6人の死刑囚と会話する。
お喋り、無口、若い、高齢、乱暴、其々が個性的で大変だ。
じっと耐えるかのように耳を傾け話を聞こうとする。
このシーンが延々続くから、途中からちょっと飽きるが、ちょうど飽きる頃に変化が現れ、また画面に釘付けになる。
光石研は、漣さんの最期にも一緒だった俳優。
役は開き直った感じ、それでいて案外弱いところもあって、上手い。
唯一の女性は烏丸せつこ。
正直、ビックリ。似てるなあとは思ったけど、本物とは!
あのセクシーで可愛かった彼女からはイメージはガラリと変わり、すっかり大阪のおばちゃん風の役。
じっくりと我慢強く対峙する漣さんが、観ているだけで泣けちゃう。
セリフも、死や生きるとは?といった言葉が多いから。
自分の過去の体験と重ね合わせていくシーンは、切り替えが上手くすーっと入って行けた。
ちょっとしたことで人生は変わる。
後悔しても時は戻らない。
そのもどかしさと悲しみと。
ただ、幽霊はちょっとファンタジーっぽくてない方が良かったかな。
過去を思い出すだけで十分だった。
ラストも良かった。
漣さんのアップ、表情。
またいつか観たくなるだろう。


※そのコントをyoutubeで発見!
たけしと貴明の番組で、ザブングル加藤・サンドウィッチマンと、取調室というテーマで!
アドリブらしき破茶滅茶なラスト!こんな振り切った俳優、流石に他に見たことないわ〜😅
ぬーたん

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