しんご

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」のしんごのレビュー・感想・評価

3.8
Case1ではシビュラの欠陥を利用した犯罪が、Case2では征陸さんから須郷への魂の継承が描かれていた。ステップを踏んで右肩上がりに期待が膨らむ完結編。満を持して蓋を開けばそこにはシビュラシステムもドミネーターも出てこない異色なストーリーが。しかし、やはり本シリーズの顔たる狡嚙慎也が主役とあれば否が応でも作品に深みが増すしテンションが上がる。

アニメ第1期から観ていた者としては胸に来るものがある。親を殺害された仇に対して復讐を誓う少女テンジンに対し「復讐すると二度と元の自分には戻れなくなるんだぞ」と諭す狡嚙、「自分の背負った過去が悪霊さ」と槙島の亡霊に悩む狡嚙...とにかく狡嚙慎也の内面の葛藤と変化を追うストーリーテリングに本シリーズの総決算要素を感じる。狡嚙の発する一言一言がとにかく渋くて重い。しかし、話本筋としてはめちゃくちゃステレオタイプな展開なのがサイコパスっぽくないのが残念。

今回のゲスト声優に磯部勉さん、高木渉さん、本田貴子さんとまさに洋画でお馴染みの面々が出演されている。特にやっぱり磯部さんのあの渋いお声が場内に響き渡ると画が締まるね。

秋からの第3期へと繋がる核心ワードを狡嚙が発した直後に流れる「名前のない怪物」はやっぱり最高。欲を言えばオリジナルバージョンで聞きたかったけど。
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