吉田ジャスティスカツヲ

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズの吉田ジャスティスカツヲのレビュー・感想・評価

4.7
俺の名は伊集院隼人。
かつての業界では別名を通していたが、その必要もなくなったので今は本名を名乗っており、ここ新宿で喫茶キャッツアイの雇われマスターをやっている。
もっとも、仲間内では本名で俺を呼ぶヤツも少ないがな。
建物の大家さんである、あの方々にだけは頭が上がらない。

店の閑古鳥が鳴いているのはいつものことだが、先日店のドアベル🔔を鳴らして入ってきた男が特徴的だったので、今日はその話をしようと思う。


俺はかつての仕事で視力を失っているが、そのほかの五感から大抵の情報は得られる。
その男性客はおそらく冴羽と年齢が近く、俺とも冴羽とも背格好は似ていないが、ヒトに話づらい過去があることを雰囲気から察した。

男はキャラメルマキアートのキャラメル増しという【一応メニューに書いてあるが、この店でかつて一度も提供したことのない飲み物☕️】を注文して啜り始めた。
その際に彼は、俺の声が玄田哲章に似ていると驚いていたが、まぁマンザラでもない。
他に客もいない上に皿もカップも全部拭き終わってしまったので、俺は男の話に耳を傾けることにした。


彼は普段あまり新宿には立ち寄らないそうなのだが【今日は映画:シティーハンター新宿プライベートアイズを観てきた】その足で、ロケ地であるこの町中を歩きまわってきたためヘトヘトになり、この店に休憩に入ったそうだ。

一番大きな感想は【題材の現代へのアップデートは成功したが、そこに歪みも感じた】と言っていた。

1日の利用者が世界で一番多い新宿駅。
仲間との連絡方法がないから、駅に掲示板が設置されていた90年代。
しかし【携帯電話やネットワークが発展した今にシティーハンターの新作を作る意味合い】がとても大事なのだそうだ。

物語の主軸は、いつも通り。
身に覚えなく命を狙われる美女が依頼しに来て…
下心一番で受け入れてから香がハンマー🔨で殴って…
コルトパイソンをぶっ放しながらmagic play is dancing🎵して…
依頼人を背中で見送りながらゲッドワイ🎶するだけである。
【そのいつも通りというのが、これほど有り難いというか、嬉しいものは無いのだな】と感じたそうだ。

使い方が合っているかどうかはともかく、懐かしい曲を要所要所に使ってくれたりも嬉しかったしEDの映像も懐かしさでいっぱい。
その男がいま笑顔であることは、俺の目の可視や不可視関係なく感じ取れた。


ただし世代ではなくて、話題になってるから見るか…くらいの観客には、何でこんなに絶賛されてるかわからないであろうと。
ギャグのセンスも当時のまま、テンポも当時のままなので古臭いと感じるかもしれないが、それでいいのだそうだ。

少なくとも、彼と同じ上映会の観客たちはもれなく喜んでいたそうだ。



支払いをカード💳で済ませ、男性客は『また来ると思います』と言い残し、喫茶を立ち去った。
俺が店舗控えにボールペンで記されたサインを指でなぞると、そこにはこうある。


『オレの名前は吉田ジャスティスカツヲ。
イナカハンターだ。』










書くのは📝名前だけでいい。