タイトルコールから最高でチビりそうだった♪
華やかで刹那的で空っぽだからこそ美しい。
スキスキ大好き超愛してる…今この瞬間だけを。
彼らはこの楽しい時間がもうすぐ終わるのを知っている…そして、その先に何もない事を知ってる。
先が見えなくて怖いから、とりあえず目をつぶって快楽を求めて突っ走る。そんなチキンレース的青春を選んだ者たちの『横道世之介』
設定、ビジュアル、音楽…表層は今の映画として仕上げつつも、中身はしっかりと岡崎京子的であるという…今の時代の不安感と、みんな狂っていて一瞬で消えてしまったあの時代の怖いもの知らずな感じと、青春が孕む普遍的な刹那さとが見事に融合していて…これは最高レベルの実写映画化にして、岡崎京子作品最高のトリビュート作品じゃないか。
二宮健監督、とんでもない脚色力。
音楽の使い方や編集センスも最高…好きすぎる。
そして、何回選んだってこうなると言い切ってしまいたい程のキャスティングの完璧さ。
さすがの上手さ門脇麦に、成田凌史上最高な最低っぷり成田凌、表情と仕草だけでウブで一途な童貞キャラを演じきる村上虹郎、玉城ティナの純粋さとエロさが同居するコケティッシュさ…でも今回はなんと言ってもチワワ役の吉田志織ちゃんでしょう。
彼女こそがあの時代の、そして同時に今の時代の象徴としてこの映画の中に君臨しており、登場する全て人たちは彼女に憧れ、刺激され、恐れ、距離を置く。
それは彼らが全身で「青春そのもの」を体現するチワワちゃんから、そして大人への猶予期間である青春というものから卒業する事を意味するのでしょう。
思い出すだけで、忘れていたあの頃の記憶が蘇り、また心がワナワナしだしてしまうような素晴らしい映画体験でありました。