ベルサイユ製麺

カンフートラベラー 北腿のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

カンフートラベラー 北腿(2017年製作の映画)
3.4
…TSUTAYAの棚の前で暫し我が目を疑う。

カンフートラベラー is back!!!!!

いや早いって!!前作観たの、たかだか3週間前ですよ?ラーメン屋のドンブリの底に“明日もお待ちしています”って書いてるからってマジで翌日すぐ来るなよ的な…。でも当然観ます。ホントは毎日でも観たい!…ということで、7人目のレビュアー参上!!

前作、『南拳』のおさらい。
未来、エイリアンの侵攻を受け唯一生き残った中国の基地が、古くから伝わるカンフー・南拳が対エイリアンに効果を発揮することを発見。ロボット1号と技術者シュ・ズーインが清朝にタイムトラベルし苦難の果て南拳の奥義を習得。その全てのデータをメモリーに入れ万里の長城の城壁に隠した。未来、それを掘り出した中国の対エイリアン軍はロボット兵達に南拳をインストールして攻勢に転じた!俺たちは転じた!(BGM「男達のメロディー」by SHOGUN )

…の続き。
ロボットがエイリアンをぶん殴ると“ケチョン”と軽い音がする。あまり効いている気はしないが、とにかくロボット軍が優勢のようだ。しかし、新型のエイリアンが現れロボット軍はまたしても蹴散らされてしまうのだ!ぐぬぬ。
抵抗軍の長官は言う!「再度タイムトラベルを。」更に北拳の蹴り技を習得すれば完璧!という事で、なんと前作と全く同じロジックでおんなじ事を繰り返します!!というか、タイムトラベル何回でも出来るのかよぉ。だったらなんか、もっと別の方法が…、いや、いいんですけど。
それよりロボット2号です!なんとソバージュ!何故か見た目を変えてきた!!清朝に一番なさそうな髪型に…。
ロボットのモデルになったチェン・フー主任は、離ればなれの愛するシュ・ズーインに2号の録画機能で動画メッセージを託します。
カメラを見つめ神妙な面持ちのフー主任。ただ一言…「気をつけろ」。五文字!動画である意味は⁈フー主任の朴念仁!ビンタしてやりたい。

無事タイムトラベルして、過去の世界に降り立った2号、間髪入れずいきなりドカーンと落雷に合います!ソバージュがカーリーヘアに!幸先良い!
落雷のショックでデータが飛んだ2号はちょっとおバカさんになります。大目的の“北拳の達人に拳法を習う”は覚えてるけど、自分の事が分からない。運良く物好きな軍の司令官に拾われて、名前もつけてもらった!“狗”と書いてゴウと発しやす。犬扱いとは不憫…。因みに司令官の側近に、何故かシュ・ズーインがいて、…マジでここの理屈は分からないんだけど、話が前向いて進むので良しとしましょう。
以降、司令官の思い付きで道場破りをする事になった2号改めゴウはメキメキと蹴り技の技術を体得して行きます。
一方、司令官は密かに朝廷へのクーデターを企てていて、ひょっとするとこの辺りは何らかの史実に基づくのかもしれませんが、勿論調べる気は起こりません。ゴウはクーデターを未然に防げるのか?北拳の達人の正体は⁇…辺りがお話の焦点になります。
タイムパラドックスの理屈がもはや製作者にもあやふやになっていたり、そっちが持ち出したロボット三原則の縛りを勝手に反故にしたりと、前作以上の混乱ぶりがやたら楽しい。ハッキリ言って脚本は前作を凌ぐよろよろぶりなのですが、その事が作品の味わいを深め、寧ろプラスになっているのが凄い!チャーミング!
アクションは前作同様キレキレです。円卓(めちゃくちゃ小さい!)の上での組手も、超常的なラスボスバトルも素晴らしい。奥義で“銃弾を蹴散らす”シーンはマジ最高!自分が物理法則とかサッパリ分からないアホウなので得したな、やったなと思いました。
トータルでの印象は前作と寸分違わず、これぞカンフートラベラークオリティと言えそうですが、今作のラストシーンのまるで“イマジネーションが尽きた夢の飽和点”の様なボンヤリした終わり方は圧巻で、映画史に残る珍奇ぶりだと感じました!
『南拳』『北腿』ワンセットで鑑賞すれば破壊力も倍増間違い無しで、願わくば今後も『東拳』『西拳』『北北東拳』…と全方位的に展開していけば、毎度パワーアップするエイリアンなど恐るるに足らず!いい加減TSUTAYAが置かなくなる事請け合い!そうなったら、DVDをそっと万里の長城の城壁に差し込んでおけば良いのだ。