Kogarath

止められるか、俺たちをのKogarathのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
4.5
熱かった。胸にガツンと刺さった。
正直若松孝二監督の作品は一本も観たことが無いし関係人物もほぼ知らないけど、製作陣の若松監督に対する愛情とリスペクト、そして映画にかける情熱がビシビシ伝わってくる。
予備知識なしですんなり入り込めたのは、きっと丸腰で若松プロに飛び込んでいった吉積めぐみの目線で語られるからだろうな。演じる門脇麦もよく馴染んでる。女を捨てたはずでも女であることから逃れられない苦悩や、監督になりたいけど撮りたいものが無いという矛盾、そしてそんな自身すら少し醒めた目で見ているような表情。素晴らしい女優さんだなと思った。
対して若松監督に扮する井浦新はパワーに溢れ、映画に怒りを込めて世に放つ。時折オーバーじゃない?という演技もあるけど、似せていると語っているので本人もああいう風だったんだろうな。
偉大な伝説の監督という一方的な描き方はせず、愛嬌があったり俗っぽかったりする一面も見せてるところもいい。劇中で何度か口にする「映画業界をぶち壊したい」「客席に刃をつきつける」といった言葉。確かに最近、こんなこと言う映画監督はいないかも。がぜん興味が沸いたので、若松作品をいくつか観てみようと思う。

観ている間は前後の繋がりがよく分からなかったり、登場人物が多くて整理できなかったけど、後で調べたらいろいろと納得。後年に撮る映画に関わる人物がチラッと出てたりして、そういう関係があったのか!みたいな。もっと知った上でまた観てみたい。

あと新宿の街並みが思いっきり現代なとこから分かるように低予算作品らしいけど、端役がなかなか豪華。寺島しのぶに高良健吾、奥田瑛二まで。低いギャラでもいいから出たいってことかな。愛されてるなあ。
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