まりぃくりすてぃ

若おかみは小学生!のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.9
アニメの最善をやりぬいた、お利口さん映画! 「児童労働の葛藤はないの?」という禁句さえ呑み込めば(笑)ツッコミどころが一カ所も見当たらないよ。声優ふくめてのこの完全調和を、交響曲と呼ぼう!!
映画館で鼻グスなんてもんじゃなく嗚咽寸前まで行ったのは人生初。「うぅ、…ゔゔぅぇ」と本当に大きな声が出そうになって必死にこらえた。後半でだ。
のっけから悲劇なのに、序盤はドライ設計なシナリオだった。ケレン味なく軽やかに進み、うまっそうなプリンをはじめガジェットの一つ一つが楽しい。各キャラの現れ方も綺麗なぐらいに巧い。てか、すべて美しい。
キッズ向けじゃなく大人子供兼用作。中盤のグローリー水領さんの躍動あたりから特にね、大人の方が楽しめるっぽい。教室に「陶冶」「推敲」「五蘊」など小学生レベル超えすぎの書道作品が貼りまくられたりもしてるし。。。。

かつて名作とも迷作ともいわれた大作アニメ『千と千尋の神隠し』が、子供が観るには難しすぎて大人が観るには幼稚っぽい不安定作だったのに対して、、、、プリティーなプリティーな本作は終始一貫、全世代が無条件に楽しめて泣けるであろうトーンを維持。
その違いは単純に、全観客と全登場人物の幸せだけを願って作ってるかどうかだ、と私は思う。「作り手が作りたいように作った」結果として墓穴を掘ってるケースは世に多々ある。本作中には悪人が一人もいない。これはやっぱり激重要なことかも。


でも、、、満点にはしたくないな。最後の神楽シーンが、CG駆使してさらに凄ヤマになってくれればなぁ~。オッコとピンフリちゃんが両者いつしか涙を流しながら舞ってる、とか何でもいいからエモ的にもフォルティッシモに達してバン!と終わるのが最高だったはず。『シェルブールの雨傘』のラストみたく。