Kinako

ソニック・ザ・ムービーのKinakoのレビュー・感想・評価

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)
4.0
日本が世界に誇るゲーム会社、SEGAが生み出した人気キャラクター『ソニック』がついにハリウッドで実写化!!超音速の爽快バトルを堪能せよー。

ソニックとえば、任天堂のマリオと並ぶ、「SEGA」の有名ゲームキャラクター。プレイヤーは多種多様なステージを、ソニックになりきって爽快に走り抜ける。瞬きすら躊躇する、そのスピード感溢れるゲーム性で多くのファンを獲得しました。

本作は、これまでの彼の活躍を知らない…つまり一度もゲームをプレイした事が無い人でも楽しめます。何故なら本作のソニックはゲーム版と少し違うからです。例えば性格はどこか寂しがり屋で、お馴染みの赤いシューズも履いていません。

つまり本作は、ゲームのソニックをそのまま映画の世界に登場させた作品では無いのです。劇中のオリジナルの物語を通して、ソニックは我々のよく知っている、自信に満ち溢れたクールガイに少しずつ成長していきます。

それでいて、ゲームのキャラクターや要素をふんだんに脚本や演出に取り入れているので、既存のファンやソニックを知らない人でも安心して鑑賞できる作りとなっています。

中でもソニックシリーズの宿敵、ドクター・エッグマンの配役は『マスク(1994)』や『グリンチ(2000)』など、強烈なキャラクター演じてきたジム・キャリー。漫画のキャラクターをそのまま実写化させたかの様な、彼のコミカルな演技はまさにゲーム原作の悪役にぴったりです。吹替も当然、山寺宏一。新たなジム・キャリーのハマり役が誕生しました。

また本作の凄い所は「ソニック」というキャラクターを実在の人間と違和感なく共演させていること。ソニック自体は、質の良いCGアニメで表現されています。これが実写の映像とすごく良い塩梅で、本当にゲームのキャラクターが三次元に存在している様に見えます。

二次元と三次元の融合です。しかもソニックは元々ゲームのキャラなので、実写の世界で文字通り、まるでアニメの様なアクロバティックな動きをします。『トムとジェリー』や『ウッディー・ウッドペッカー 』の様な「カートゥーン」と呼ばれるギャグアニメの表現を実写化させる事に成功しています。かつてUSJにあった、ウッドペッカーの4Dアトラクションを彷彿とさせられました。

さらに本作は、『ワイルドスピード』のプロデューサーが手掛けているだけあって、ソニックならではの「スピード」を活かした演出がとても上手い。街を疾走する爽快感溢れるシーンに加え、時間がスローモーションで流れるソニック視点の演出など、その表現は多岐に渡ります。

特に『X-MEN』シリーズに登場する、瞬間移動が出来るヒーローのクイックシルバーの映像表現にはスローモーションが使われていました。速すぎて本人には、周りが遅く見えている、というやつです。日本人からしてみれば、やっと本家というか、やっとソニックでこの演出をしてくれた…という気持ちですね。やはりハリウッド製作だから出来た映像表現でしょうか。

劇中のソニックの設定を、外見はハリネズミだけど、地球にやってきた宇宙人という設定にした着眼点が素晴らしいです。この点でいえばアメコミヒーローの「マイティ・ソー」と何も変わらないですから。

つまり『ソニック・ザ・ムービー』は「アベンジャーズ」や「バットマン」などのアメコミヒーロー作品と肩を並べられる、ゲーム原作という、新たなヒーロー映画としてのシリーズを開拓した作品なのではないでしょうか。
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