Kinako

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのKinakoのレビュー・感想・評価

4.7
 全然60代に見えないトム・クルーズの凄いアクションの宝石箱や〜!映画シリーズの『ミッション:インポッシブル』第7作目にして原点回帰!そしてアップグレード!まさかここから新たな章をスタートさせるつもりなのか…!?

 トム・クルーズのアクションは笑っちゃうくらいアクロバティックだし、第一やっぱり、映画としてのシチュエーションが面白い。このシリーズはスパイものとしての王道をしっかりやりつつ、前作を超えたアクションも毎回やってる所が凄いです。

 トム演じる凄腕スパイ・イーサンが変装や思考力を活かしてチームワークでミッションを遂行する華麗さと、せっかく考えた作戦が思わぬ形で崩れ、どう達成するのか?というギリギリの駆け引きが本シリーズの魅力です。今回も一つの作品の中でクールとハード、対照的なスパイの物語を楽しめます。

 本作の魅力は主に三つあります。まずはスタントマン無しで挑んだトムの命知らずのアクションです。シリーズ最高レベルのアクションの連続で、2006年の3作目から歳とってないんじゃないかと疑うレベル。さすが人生100年時代と言われるだけあります。これを超えるアクション映画は当分お目にかかれない筈。

 二つ目はAIを活かした物語の面白さです。AIが家具や検索ツールとして日常生活に浸透した今、誰もが数十年前まではSFのネタだったAIを便利なものとして身近に捉えています。しかし同時に、急速的に進化する技術に怖さも感じているのではないでしょうか。

 本作に登場するAI技術は、誰しもが「そうなってほしくない」と思ってる方法で悪事に使われます。身近な存在が人類の脅威として牙を向く怖さ。AIがSFとして片付けられない現代だからこそ、本作の物語からはリアルな緊迫感が伝わってきます。

 AI等の最先端技術は、それ自体が恐ろしいものではなく、使う側が慎重な思考の元で、良い事に用いなければならないものだとつくづく考えさせられる一作でした。でも本作の魅力はそれだけに留まりません。

 キャラクター同士の群像劇が最高に楽しいのです。頭のキレる人物たちが本気で騙し合い、助け合う脚本の巧さ。そこへ従来のスパイ活動にAI技術が加わります。例えばモニターの画面に映る人物がAIによって別の人物に差し替えられたりします。

 スパイ映画の騙し合いにAIの技術が加わったら面白いに決まってますよ!!さすがだと唸らされましたね。さて群像劇に話が戻りますが本作は、イーサン率いるチーム、イーサンの過去に因縁がある悪役ガブリエルとフランスの冷酷で可愛い暗殺者パリス、峰不二子に並ぶ泥棒猫グレース、敵か味方か分からない闇の武器商人アラナと…

 列挙するだけで胸が踊るような濃いキャラクターが目白押し!そこにAIの脅威や政府間のイザコザまで複雑に絡み合うのですから、まさに世界を股にかける大スペクタクル映画となっています。ぜひシリーズ最大級のミッションを体感してみてはいかがでしょうか!?

 本作のサブタイトル「デッドレコニング」の真の意味はラストで分かります。というかPART1でここまで凄かったら次作はどうなっちゃうのか…。本作のプレミアイベントでトムは国際宇宙ステーションで何かしらの映画撮影をしていると語っているらしいけど…これは楽しみで仕方がないですね。
 
Kinako

Kinako