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バーニング 劇場版のstのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
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「社会」の中で小説家やキャンペーンモデルなどの役割を持ち、あるいは持たんとする男女の偶然の再開。そしてアフリカという極東から見れば辺境の地で、人間の意思に先行して存在する「世界」をともに目にした男女の邂逅。
後者の「男」は、形容しえない移ろいゆく空の下、自分たちは大きな「世界」の中の自然の一部でしかないことを再認識するが、(主に家庭環境的な理由から)「社会」の中で生きることで精一杯な前者の「男」は、「彼女」という存在が彼の中で神格化されたことで、猜疑的になる。

ボイラー室で猫を見つけた「彼女」と、
地下駐車場で猫を見つけた「彼」。

渇いた井戸の中に「彼女」を見つけた「彼」と、
どれだけ探しても見つかることのない「彼女」。

山の湖の水が日の落ちる地平線と平行であり続けるのと同じように、(「猫」という存在の有無が2人の関係の存否を規定するかのように、)2人が交わることはきっともうないのかもしれない。
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