柏エシディシ

ブラック・クランズマンの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.0
スパイク・リー渾身の一撃。
もちろん、ラストにドスンとクるメッセージをシリアスに受けとめなければならないけれど、とにかく愉快でカッコいい映画としても本作は抜群である事を強調しておきたい。

コーリー・ホーキンズ演じるクワメ・トゥーレによるアジテーションの高揚感。
黒い背景バックの中、各々の矜持と誇りを取り戻す様にブラザーシスターの表情が浮かび上がってくる演出。
コーネリアスブラザーズ&シスターローズToo late to back nowに合わせて、汗だくになった男女が踊るダンスシーンのたまらない幸福感。
そして、アイロニカルで軽妙な登場人物たちのセリフまわしと丁々発止。(字幕監修にオーサカモノレールの中田さん!)

あぁ、スパイク・リーの映画だっ!と嬉しくなる。近年は、自身のパブリックイメージを敢えて避ける様な題材の作品が多かったのだけれど、面目躍如。この人はやはり人種どうのこうの以前に、こういうキレ味のある演出と脚本を得意とするエッジな映画作家なんだ。

差別は良くない、という正論を真っ向からヤツらや世界に突きつけても、変化は訪れないかもしれない。
でも、最高にクールな映画や音楽の様なアートの鋭い刃は、ユーモアとイマジネーションで何かを変える可能性や想像力を育ませる力を孕んでいると信じたい。
柏エシディシ

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