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存在のない子供たちのSsknのネタバレレビュー・内容・結末

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

傑作すぎてもう何も言えないです。
こんな悲惨な現実が地球の裏側で実在していると思うと胸が締め付けられる。
中国ではこの映画が大ヒットしているという。一人っ子政策の影響で、政府に内緒で産まれた「身分証のない」子供が多数いるから。

日本でぬくぬくと育った僕らには公的に自分の存在が認められないなんてことはありえないから、「生きてここにいるのに当たり前の人権がない」なんていう事態にピンとこない。
レバノンは中東にある。イギリスの三枚舌外交に端を発する永年の問題は「人が子を産み育てる」という当たり前の営みさえ否定してしまっている。あまりにも業が深い。

主演の男の子の演技がすごい。彼の視点からみる世界はあまりに厳しい。でも、大人には大人のやむを得ない事情があるのも観客には分かる。だから余計に辛い。

ラストワンショット。彼の一瞬の笑顔。2時間通じて一度も見ることのなかった笑顔。その笑顔に彼と同じように無念の時を過ごした無数の少年少女の顔が重なって見えた。
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