パピヨン

帰れない二人のパピヨンのレビュー・感想・評価

帰れない二人(2018年製作の映画)
3.9
男と女がたどる2001年からの18年間にも及ぶ物語は、劇的に変わりゆく中国を背景に、ゆったりだけれど緊張感で張り詰めている不思議な世界で、ジャ·ジャンクー監督の得意とする世界観そのものです。
山西省·大同、裏社会で生きる男ビンをチンピラの襲撃から守るため、銃を発砲させた恋人のチャオ。そして5年後に刑期を終え、釈放されたチャオは古都·奉節でビンを訪ねる。しかし、彼には新しい恋人がいて、かつての姿はそこには無かったのです。チャオは世界で最も内地にあると言われるウイグル自治区を目指すのです。そして2017年がやってくるのです····。
最初にも触れたジャ·ジャンクーの世界観の、ゆったりだけれど張り詰めた緊張感、この上なく不幸だけれど愛し続ける幸福感。何とも不思議な感覚の本作品は、監督の全ての作品に共通しているのかも知れません。公私に渡る、監督のパートナーである主演女優チャオ·タオがそれを可能にさせているのでしょうか。
監督の作品は全て、制作国名に複数の国名が記載されていますが、日本、フランス、韓国等から資金が集まるのは監督の力量と、中国での厳しい立場の反映でしょうか。
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