真っ黒こげ太郎

アップグレードの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
4.7
「(単独で動く)許可を…与える…!」

「ジョーンズ!お前はクビだぁぁああぁぁぁ!!!」


「「どうも!」」

この後無茶苦茶悪党をブチのめした。(AIか自身の意思かの違いはあるが。w)



AIがある程度は家事や運転をこなしてくれるようになった近未来。
エンジニアのグレイ・トレイスは妻と平和に暮らしていたが、突如として謎の悪党共に妻を殺害され、自身も全身麻痺にさせられてしまう。
全てを失い、悲しみに暮れ、復讐したくても何もできず苛立ちを募らせるグレイ。

そんな中、知り合いの若い社長の提案で、自身の体に高性能なAIチップ「STEM(ステム)」を埋め込み、五体を取り戻す秘密実験手術を受ける。
実験は成功し、グレイの五体は大回復し、人知を超えた力を得る。
更にグレイには「STEM(ステム)」自身の声が聞こえるようになった。

復讐に燃えるグレイは、「STEM(ステム)」による人知を超えた力で犯人捜しを行うが…。



妻を殺され、全身麻痺になった男が、人工知能の力を経て悪党達に戦いを挑むSF・バイオレンス・アクション。
監督は「SAW」で脚本や主演を務めていた人みたい。

何やら機械的に動く近接戦闘シーンで気になっていたし、評判も高めなので気になっていたのでレンタル!!!
(劇場公開されたらしいが、ご近所ではやらなかった…。)
正直「独特の格闘戦観れりゃいいや」程度の期待感だったが…


…こりゃあオモロイやないけ!!!

しかし、まさかそう来る!?そう来るのか!?

予想以上にとんでもねぇビックリかつどエラい内容だった。


お話は上記の通りで、半身不随の男と人工知能が共に復讐相手を捜す、所謂「機械と人間のバディ物」な内容。
こういうバディ系作品ではようある事とは言え、機械的な人工知能と人間臭い主人公の掛け合いは凸凹感があって良いね。
実はアクション自体は少なく、ドラマを挟む静かなパートも多いが、バディ物としての掛け合いや主人公周りのドラマもしっかり作られてるのでドラマパートも飽きずに楽しめる。


独特の動きで動く格闘アクションはコメディチックなやり取りもあって滅茶苦茶オモロイ。
ロボットみたいな動きのアクションはちょっと笑えるが、アレもある意味格闘アクションの一つの形…なのかもしれない。w
また人工知能も無敵ではなくそれなりの欠点はあったり、主人公も人工知能が無ければ全く戦えないといった制限もあるため、ちゃんと要所要所でハラハラドキドキさせられる。
また、これは全く予期してなかったのだが、戦闘シーンでは要所要所にゴア描写を挟んでくれるのがスプラッター好きとしては高ポイントだ。
(しかしジェシー・V・ジョンソンさんの最近の作品といい、最近のハード系のアクションは「パニッシャー・ウォーゾーン」レベルの血みどろが常備されているのだろうか?w)

主人公達が事件の真相に迫ってゆく物語も面白いし、そこに至るまでの調査の過程も愉快で楽しめる。
映画自体は割と低予算らしいが、それをディティールやアイディアで上手く補っており、ユニークなネタも相まって最後まで楽しめた。

…最後に明らかになるエゲツ無ェ事件の真相と黒幕の正体は好みが別れると思るが。


…さっきからどエラいとかエゲツ無ェとか連呼してるけど、今作、終盤に明らかになる事件の真相やそれを伴う結末がとんでもなかったです。
ネタバレになるので詳しくは書けないし、その衝撃の結末は実際に本編を観て確かみてほしいのだが、個人的には滅茶苦茶ビックリいたしました。

まさかそう来るとはなぁ…しかも内容を思い返してみると、事件に至るまでの伏線があちこちで発見できるんですよね。(特に車の件。)

俺的には”復讐”がテーマと聞いて「痛快丸かじり!!」な展開を期待していたし、実際序盤の内はそういう場面が多かったけど、まさかまさかの事実にとんでもないショックを受けました…。
(流石に「SPL3」の結末のショックには及びませんがね。ありゃ反則です。w)


ついでに難点を上げると、低予算な分超人的なバトルアクション自体が多くないのは残念だったし、刑事のねーちゃんの終盤の行動とか引っかかる点も多かった。
(後半でフェードアウトしたけど、主人公の母親も、あの後悲惨な結末が待ち受けていそうな気がしてならない、ってか絶対そうなるよ…。)
後、上記した衝撃の結末も、正直唐突感は否めないかも…。


とは言え、埋もれさせるのが惜しい秀作なので、気になる方は是非観てください。
SFバイオレンスアクションの新しい形、オススメでっせ。


リー・ワネルさん、めっちゃやるやないけ!!!(偉そうにw)
今では氏の他の作品も気になったりしてます。

しかし「SAW」は子供の頃辺りに予告を見て「痛々しい映画だ!」とビビってしまっていて今もビビってしまっています…。
(まぁ「本作や「ホステル」や「ハイテンション」や「ハチェット」シリーズとかハーシェル・ゴードン・ルイスさんの作品を楽しそうに観てる癖に今更何言うとんねん!!!!!!」と言われたら返す言葉もないですが。w)