カズナリマン

アメリカン・アニマルズのカズナリマンのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
1.2
コレ映画化企画したやつ、一番有罪!

うーむ、どこから始めたらいいのやら…。とにかく、今年の個人的ラジー賞(最低映画賞)候補の筆頭と言わせて頂きましょう!
まず一言物申すなら「こんなつまらない事件の映画化誰が企画した!?」でしょーか。
誤解するなかれ。しょーもな事件の映画化は他にもたくさんあって、中には傑作も少なくありません。
個人的に好きなのは…
●筋肉バカの愚かな恐喝事件を描いた「ペイン&ゲイン」
●セレブ宅空き巣で捕まったアホティーン達を描いた「ブリングリング」
●子供達による浅はかな「いじめっ子殺人事件」の顛末を描いた「ブリー」

でも、これら「しょーもな事件」映画に共通して言えるのは「ブラックコメディである」こと。
しょーもない動機で、しょーもない連中が集まって行ったしょーもない事件の顛末を、面白おかしく、社会風刺をたっぷり込めて描いているわけです。

で、この「アメリカン・アニマルズ」はと言うと…

大学生4人が企んだ(誰が見ても失敗する)骨董品強奪事件を「切羽詰まった若者達が真剣に取り組んだ、目の付け所がシャープでしょ犯罪」として超真面目に描いているのです。
真面目に、とはすなわち観客に「ほら皆さん、この若者達の気持ちわかるでしょ?」と共感を促すように描いていると言うことです。

ん?
ちょっと待って?

お金に困ったわけでもない若者達が手を染めた適当犯罪に「うんうん、わかるわー」と共感して欲しいってこと??

そりゃ無理っす!!

もちろん、本作にはその共感を呼ぶ秘策として「平凡である自分の、どん詰まり将来に悲観して」と言う若者らしい動機があります。

んーー言いたいことはわかります!
でも悲しいかな、本作にはその動機に共感させるだけの脚本力も、映像力もないんですなぁ〜。

浅はかな若者達が企んだ(失敗フラグしかない)ザル計画を目一杯のリアリティとハラハラドキドキで描く本作。
もう計画が失敗したことを知っている観客はどんな顔をして見守ればいいのか…
捕まって当然のアホ犯罪者に共感しろと言うのか…
バカすぎる計画の奇跡的逆転劇を願えと言うのか…
無理ですって!
そしてこの「無理」は脚本の時点からわかったはず。誰か一人「ブラックコメディにしちゃえば?」とアドバイス出来れば、結果は違ったものになったかも。バカな若者の浅はかな計画をバカにして笑いながら見て、彼らが最後に漏らす一言(自分は特別になりたかった!とか)にわずかに共感して、映画館を出れたかもしれない…無理かw

ここまでが、「アメリカン・アニマルズ」のダメなとこ、序章です。
ハイ、これは本作がこんな駄作になっちゃった根幹ですが、まだ序章なのです!
ここからはスピードアップ!

ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
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ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ

「アメリカンアニマルズ」の超ダメダメなとこ!

①ご本人登場が早すぎて、フィクション崩壊!
なんと本作はご本人登場が開始5分にあります。主人公はこんなやつで、こんな状況です、とストーリーが見せた後ご本人インタビューがインサート!
「僕はこのときこう思ってました」的にカメラに話し始めました。
すごい!!!!ナレーションで気持ちを語る以上の掟破り!!というか、これはもう再現ビデオです、ただの。
さらに突っ込むなら、犯罪に一口噛んだ全てのキャラが本人登場し、節々で「やるべきではなかった」的なことを言います。
ダハハハ。マジスカ!!高校生に見せる「覚せい剤に手を出すな」ビデオですか???
本人が語るなら「俺たちあの時は失敗したけど、今度はうまくやるぜ!」的な強がりとかじゃないと意味なくないです?
しかも、縛り上げた女性への過剰なトラウマ体験。「あの方にはすまなかった…」と皆口々に漏らしますが、言っちゃなんだけど、そんなに鬼畜な所業には見えなかったです(もちろんよくないことだけど)。
しかもその反省セリフがカメラに面と向かって喋っている元犯罪者当人の口から出るわけですから…本心に見えるわけないってーー。これ見よがしに悲しい顔とかしないでーー!白々しい!

②使ってる音楽が他の映画からのパクリばかり!
スタイリッシュな犯罪映画のように編集されてる本作。
「オーシャンズ11」のエルビスの曲は強奪映画へのオマージュとして許すとしましょう。
でも「インヒアレントヴァイス」(PTアンダーソン)の「ビタミンC」は?
「シュガーマン 奇跡に愛された男」の曲は?
ほんと、(ただの映画ファンである)監督が「他の映画の曲の使い方を真似しただけ」にしか見えない、サントラの構成。自分は3曲しか気づきませんでしたが、もっとあったかもです。
いえいえ、「盗難」がテーマだからじゃありませんて!曲の使い方にさえオリジナリティがない、こんな恥ずかしげもないサントラ映画初めて見ましたわ!w

③エンディング
最後に、実録映画あるあるですが、犯罪に関わった4人の現在の職業が観客に字幕で明かされます。
(このとき、一人一人が椅子からかっこよく立ち上がり、画面を去ります。監督が、そう動くように本人達に指示しているのです。ヒドイ…こんな恥ずかしいご本人映像見たことないw 誰か止める人はいなかったのか???そこに激しく突っ込みたいけど、心にしまっておくことにします)
ちなみに、とってもすまなそうにしていた首謀者の一人、ウォーレンですが、彼が現在勉強しているのは「映画製作」。
本作の映画化でお金をガッポリ得たに違いない彼に誰か「映画はそんな生ぬるいもんじゃねーぞ!」と教えてあげてください!

いやーー書きたいこと書いてスッキリ……してない!!!
なんだこの映画!褒めた批評家連れてコイィィィィ!!