塩辛亭ショッパイ

アメリカン・アニマルズの塩辛亭ショッパイのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「ラスト10分、あなたの予想は必ず裏切られる」
 そんな宣伝文句風に本作をたとえるなら「1分57秒、めちゃくちゃ面白そうな予告編にダマされるな」といったところか。

 なんだあの『大学生版オーシャンズ11』みたいなイケイケのCMは! こりゃ観るしかないっしょ、な感じでまんまとTSUTAYAで新作レンタルさせられたわけだが、スタート5分、私の予想は裏切られた。
 いきなり〝強盗に失敗した〟ご本人登場サプライズにビックリぽん! 彼らの回想と俳優たちによるストーリーが交互に繰り返されるという構成。次々と繰り広げられるおバカ展開と、インタビューを受ける本人の暗い顔とのコントラストに笑ってしまう。
 かつ、その手口のド素人さ(メイクアップ力はなぜか一流だが)ゆえに、自分が強盗に入るのと同じ感覚を味わえるので、無駄にドキドキする。

 仮に自分がとんでもなくバカな強盗を働き、逮捕されたいたとして、「あなたたちの罪を映画化したいんでインタビューお願いしていいっすか?」って言われても断ると思う。よく出てこれたな。これが自由の国アメリカのノリといったところか。

 ただ、そんな彼らのおかげで「大学生版オーシャンズ」とはまた違った味わいが出ている。イケメン俳優が出ていようが、全然かっこよくない。
 当時を回想する彼らの記憶が微妙に食い違っていたり、その安易すぎる行動を告白する顔に後悔がにじんでいたりと、完全にドキュメンタリーなんである。 
 時間を持て余し、一番悪ノリをしたくてしょうがない年頃で、アイデンティティーを間違った方向に求めがちな大学生(わりかしいると思う)は本作を新作レンタルして、思いとどまるがいい。

 予告編に大きく裏切られたわけだが、〝いい意味で〟の部類に入る面白さがそこにある。
塩辛亭ショッパイ

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