ニャーニャット

七つの会議のニャーニャットのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
2.4
「半沢直樹」でお馴染みの製作陣で、監督も福澤克雄。乗り気じゃなかった堺雅人の代わりに野村萬斎を連れてきた感じ。野村萬斎がダメリーマンを演じてるんだけど、すでに只者じゃない感が尋常じゃない。その立ち姿、台詞回し、笑い方、どれをとってもサラリーマンに見えない!すごい狂言師にしか見えない!(笑)
香川照之を筆頭にした他の共演者のオーバー演技が日本のサラリーマン社会のカリカチュアなのに対して、野村萬斎のそれはまったくもってそうではなくとにかく浮きまくってる。けど、その違和感というか存在感が逆に「テレビドラマ」を「映画」になんとか昇華させたのかもしれない。

「半沢直樹」もそうなんだけど、最近の日本の映画にしては珍しく影の作り方にすごくこだわりを感じる。その演出が日本ドラマのチープな絵作りとは一線を画して、なんちゃって重厚感を出してる。いわゆるスプリットライティングで顔の半分に影をつくる独特な演出なんだけど、普通の映画だと善人の裏の顔が垣間見える瞬間だったり、そういう人間の二面性を描くために用いられる。だけど、この映画の場合、主人公も悪役もとにかくスプリットライティング。ここになにか演出としての「意図」のようなものはないんだろな。この絵作りがいわゆる半沢っぽさになってるから、多用してるだけなんだと思う。
それこそ中身はシンプルな勧善懲悪なんだけど、意味ありげに影を使い、意味ありげに重低音を響かせたサウンドを用いることでなんか重厚な経済ドラマを観てるような気分にさせるというか。
半沢直樹に比べると主人公をただの正義漢にせず、過去に影を持たせた分だけ少し映画的と言えなくもないけど、別に大したことじゃない。