まりぃくりすてぃ

宇宙の法―黎明編―のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

宇宙の法―黎明編―(2018年製作の映画)
1.1
大駄作。開始十数分でもう劇場から逃げ出したくなっちゃった。

でも、一つだけ絶賛ポイントあるよ。悪の首領ダハール役の村瀬歩さんのハイスペック感がスゴカッタ!! 声の艶。キャラに付加しまくった深みと余裕。後半には大熱演度が上がって。日本声優界の至宝かもしれない歩さんの、ひょっとしたらベストアクトが本作かもね。孤軍奮闘。
期待された女帝ザムザ役の千眼美子さんは、まあ及第点って程度。
それ以外の声優陣は二級。ごまかすみたく「うー」とか「ゔっ」とか「グァーッ」という唸り声が多くて、ただでさえ戦闘の効果音に溢れてる映画なのでウルサイウルサイ。
ザムザ vs 主役レイ vs ダハール、の三つ巴が多少ドキワクさせてくれるのかと思ったら、早いうちに「ザムザ&レイ vs ダハール」のシンプルめな善悪二元論へと定まっちゃって、面白さが上がらず。

いやいや、そんなことよりまず、、、、、キャラの作画が悪い。輪郭線が太いせいで雑っぽい。美人&カワイコのはずのアンナとハルは、アップの時はいいけどガヤ位置に下がるとブスに見えた。太い線である上に、その線が数的に必要を満たしてないのだ。例えば、二重瞼の線を必ず途中消えさせてる(くっきり長く描けばいいのに)せいで、どの人物も一重瞼みたいになってたよ。
そもそも、キャラデ(顔立ちも髪形も)ほぼ全員、昭和時代の有名漫画家の絵からの借り物っぽい。あんま詳しくは知らないけど永井豪(→レイ、ザムザ、ゲオパルド)、高橋留美子(→ザムザ)、松本零士(→インカール)、原哲夫(→アルファ)とかね。アンナとかエイスケとかは今風なのかもと鑑賞前に思ったけど、フタ開けてみるとやっぱり古さにみんな埋もれてて。
「正義を守る」「使命」とかの言葉も、古色蒼然すぎだ。(ほんと生まれる前のことだから手さぐりで書くけど、たぶん)昭和中期のTVアニメを「四周まわってけっこう“今年顔”の映画でしょ」と押しつけてる臭さなんだと思う。
それを例えて言い換えれば、AIや辺野古やキモトランプや極悪CIAやモダンフレンチ料理店に思いを馳せながらインスタ投稿をアーカイブしてた手を休めてクリロナの最近の雄姿を確かめるためにスマホを握り直したら突然「巨人・大鵬・玉子焼き! 巨人・大鵬・玉子焼きが好きでしょっ!?」と変な大音声と粗画像が始まっちゃってトマドイしかないのに2時間つきあわされた、に等しい。
ほんと、アニメ映画として村瀬歩さん以外に褒めどころ一つもなかった。前半のマゼラン星雲ゼータ星の崩壊シーンの出来ばえを監督らは自慢したいみたいだけど、そこだけちょっとCG使用が増えたなって思えただけで感嘆はないよ。
あと、主人公位置にいつづけるべきだったレイが後半ずっとザムザの引き立て係へと下がってたのもややマズイんだが、途中の回想シーンでレイが親友タイラに「俺は将来、地球を守る仕事がしたい。警察官か自衛隊員になる」と宣言した直後に「いや、総理大臣になって自衛隊を指揮するのがいい」とか勇気を捨て去ったのが大失笑。