こたつむり

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search/サーチ(2018年製作の映画)
4.2
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とても秀逸なサスペンス映画でした。
コピペ、検索ワード、パスワードの解除…。
今や特殊技能ではない“パソコンの操作”を物語に結びつけた着眼点は見事な限り。

また、本作の大きな特徴は「パソコン(スマホ)の画面のままで物語が進む」こと。これはPOVの亜流と言って良いかもしれません。まさしく“コロンブスの卵”的な発想ですね。

ただ、必然性に疑問を感じる部分もありました。特に“テレビ電話”の使い方は微妙なところ。もう少し使用頻度は低くても良かった気がします。確かに通常の電話よりも画面映えはしますが、本作は地味になることを恐れてはいけない題材だと思うのです。

でも、それは難癖に近い指摘かもしれません。
大切なのは“物語”を活かすための“演出”であること。主役である“物語”が際立てば、それで充分なのです。特にSNSに潜む現代人の闇を抽出した手腕は感嘆の極み。

真面目な子供、貞淑な妻、仕事人間の夫…。
一見、普通に見える家族でも裏には別の顔がある…。これって今に始まった話ではありませんが、これまでは宵闇の向こうでぼんやりとしていたものが白昼堂々と突き付けられると…奈落に堕ちていく気分になるのです。

だから、気付けば鼻息は荒く。
物語にグイグイと惹き込まれている自分がいました。しかも、サスペンスとして“伏線”をしっかりと仕込んでいますからね。真相に気付ける人は、かなり勘が良い人だと思います(僕の勘が鈍いだけ…という指摘は腹の底に留めておいてください)。

まあ、そんなわけで。
出来る限り、事前情報を仕込まずに臨むべき作品。話題性だけではなく、地に足のついた物語なので後味も悪くはないと思います。自分にとって大切なものを失う前に…どうぞ。

ちなみに本作はアニーシュ・チャガンティ監督のデビュー作だとか。なるほど。20世紀末にキラリと現れたシャマラン監督と比較されるのも分かります。

ただ、シャマラン監督と違うのは“人物へのアプローチ”。それを考えると、次回作こそが正念場じゃないでしょうか。奇抜な発想で物語を作り込むのか、丹念な人物描写を心掛けるのか…考えるだけでワクワクしますね。期待しています。
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