しちれゆ

この世の果て、数多の終焉のしちれゆのレビュー・感想・評価

この世の果て、数多の終焉(2018年製作の映画)
3.3
冒頭、第一声が日本語なのでおおっ、と思う。日本軍は1940年からフランス占領下のインドシナ(現在のベトナム・ラオス・カンボジア)に駐屯していたらしいです。
本作、戦争映画ですが主人公ロベールは兄を殺したベトナム解放軍の英雄ヴォー・ビンを探して密林の中を彷徨い続ける。この私怨による行動になぜ仲間がくっついてくるのか不思議。時々グロ描写はあるものの(切り取った耳?を輪っかにつなげたヤツとか色々)、基本、雰囲気映画。むせ返るような緑のジャングルも売春婦マイ(忽那汐里ふう)も死体でさえもが大道具・小道具として美しく機能している。さらに昔 一時代を築いたジェラール・ドパルデューがアウグスティヌスの『告白』を持って物々しく登場し何やら小難しいことを言っているのだがあまり説得力がない。戦争映画においてのアメリカの圧倒的物量、ドイツの硬質さ、東欧諸国の民族色、そしてフランスの叙情、本作もまた あくまでフランス的な作品。
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