狭須があこ

わがチーム、墜落事故からの復活の狭須があこのレビュー・感想・評価

3.8
選手を失ったチームの今後、
事故で生き残った人たちの今後、
遺された家族の今後、
応援してる人たちの今後。

めちゃくちゃ色んな課題があって、それぞれの課題にいちいち何が正解なんだろう?を考えて脳内大わらわになりました
てかドキュメンタリー映画って、いつもマークウォールバーグとかがやってる再現映画なんだと思ってたよ、全部本人なのかよ!!
これは映画っていうか…まぁ映画だけど…映画っていうかさぁ…

彼らをこうやってカメラ構えて、すべて追いかけて作り上げたの、映画というよりジャーナリズムですねぇ
このつらい時間たちをリアルタイムで追いかけていくことで、後世に伝えること。残したい時間は映画の形で発表すること、意味があると思いたいですね。

しかし前を向いて先に進んでいくことと、過去を大事にすることとは完全に逆の方向性なので、この映画はそこがメインテーマだったのかなと思いました。そのまま引き継ぐにはあまりに少ない過去のチームの意思を、どの程度今後に反映して進んでいくのか?

だって「シャペコエンセ」ってチームなんだからさぁ、過去のチームのやり方を残し、彼らをレジェンドとして大切にしないとさ
総入れ替えで違うことやってたら、「シャペコエンセ」の復活って言えるかそれ?最早別のチームじゃねぇか。
ってなる一方で、でも同じチームメンバーでも監督でもないのに、前と同じやり方に固執し続けて、いまのチームを勝たせること第一優先にしないなら、それはそれでサッカーチームとして意味ないじゃねぇか。
どうする?どうするんだ?

私の話ですが、大学生の頃入ってた部活、上級生5、6人でのんびりやってたんですけど、新入生を募集したら20人超が部室に押し寄せたんですよね
で、私たち上級生は元の部活動の体裁を保てず結局逃げ出してしまったんですが、わりと確固たるやり方があったとして、それを大勢の新入りに伝えるのってめっちゃ難しいと思うんですよ
多数決って言葉もあるくらいですから。

で、私たちはまぁ「こういうやり方でやろう!」とか言わずに、手に負えないままで去ってしまったんですけど、大量の新入りをなるはやでひとつにしようとするなら、そうやって方向性を誰かが決めて、統率するしかないと思うんですよね。でも、そしたら不満が出るのもまた当然だしさぁ~~~~

過去に理由を求めたって今更なんにもならないし、見るならこうやって立ち直る人たちの話を見ていきたいけれども、それでも元凶の飛行機落とした奴を100発くらいブン殴りたいと思いました。
遺族やファンがこれだけ前を向いてるのに、サッカーに興味もない私が怒ってもアホらしいんだけどさぁ…遺された人がどれだけ立ち直っても、死んだ人はもう死んでるのがやるせないし腹が立つ

「復活」って言葉にこもった意味を考えるとともに、「生きてると乗り越えなきゃいけないことはあるけれど、人が死んだら楽しい宴では終われない」っていう、尾田栄一郎の言葉をしみじみ思い出しました。

でも、これで終わりじゃないね。
続編は現実にあるんだよね。
「シャペコエンセ」の今後の復活を、追いかけていきたいと思います。
狭須があこ

狭須があこ