空海花

永遠に僕のものの空海花のレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
4.3
上げると言ったしそろそろ上げなくちゃ。

2019MyBest⑩

まず
主人公に共感はできない。
息をするように盗み、何かあるといともあっさり人まで殺してしまう。
それで良い訳がない。
しかも実話だというから驚く。

しかし映像美は素晴らしくて、透明感のある青緑の色合いの空間に、中性的だが強い眼差しの少年に赤のニットを着せて。そしてしなやかに踊らせる。音楽も素敵だ。
ポスターの「堕ちる」の文字と、銃と煙草。
アルゼンチンという遠い国の映像はとてもミステリアス。流れるようなカットで息を飲む。

で、ロレンソ・フェロのこの顔。
子供のようで、すぐにむくれる。
安易に銃を撃ってしまうが、彼の中では一応理由がある。人が聞いたら「え、それだけ?」ということであっても。
ちょっと心が冷える。
しかし見終わってからじわじわと沁みだして、頭を離れなくなる。
色気が未熟で危うくて半端ない。真っ赤な唇。
そしてもう一人の二枚目、ラモンを演じるチノ・ダリンのセクシーさ。
このツーショットは目眩がしそう。
南米の妖艶、恐るべし。

勝手に、2019年銃を持たせちゃいけない人3大映画が自分の中にある。
ジョーカー
タロウのバカ
と、今作
どれも共感し難い映画。
どれも私は共感は狙ってないと思っている。
武器を持って以来解決しないテーマも、
2019年は一際色濃かったように思っている。
銃を持ってからの水を得た魚っぷりと言ったらない。
銃を持たないのは正しい気がする。

「世界は泥棒と芸術家のもの」
見たことのないものを芸術家は求めて見出す。
その時共感は必要ではないだろう。
感情移入は真逆の行為だ。

美しき犯罪者カルリートスは最後、少し涙を流す。
こういう風にしか生きられない自分になのか
殺すことに理由を持ってしまったからなのか
でもそうしてみたものの何か違う。満たされない思いだけなのか。ちょっとわからない。
未熟さか、危うさか、願望なのか

こういうふうにしか生きられない
そんなように生きて本当は何が悪い?

ありのままの自分は正しいのか
でもありのままだけでは何だか足りない
浅い
それこそ色気もないわ

永遠に僕のもの
この邦題はどうかと思うが。
でも原題とこの映画の撮り方は秀逸。
危うさと美しさの輪郭を描いた作品。


Best10だけどそんなにおすすめはしません。笑
好み分かれそうなので。
出会いがあれば、ぜひ。

ロレンソ・フェロくんはポケモンが好きと聞いて何だかホッとした。


2019劇場鑑賞93本目

見返すと、
さらば愛しきアウトロー~アド・アストラ~ホット・サマー・ナイツ~今作の順番で観ていた。
イケメン週間だったらしい(笑)
空海花

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