柏エシディシ

ハロウィンの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ハロウィン(2018年製作の映画)
3.0
カーペンター映画の魅力は「映画はこれぐらいで良い、と断言している」点であると語った黒沢清監督の言葉は正鵠を射ている。
カーペンター父子の手による劇伴に限らず作品自体がカーペンターマナーに忠実。
偉大なるオリジナルへの敬意に満ちた正統続編として、申し分ない。
クライマックスの「アレ」!もーうあの一瞬のアレをやりたくて、製作陣はこの映画を撮ったに違いない!素晴らしい!

「見せ過ぎない」「語り過ぎない」「やり過ぎない」
いまどき、ギミックもケレン味も遠慮のないホラー映画が絶えない昨今、返って新鮮な、オールドスクールな「ちょうど良い感じ」
もちろん「ヘレディタリー」の様に細部まで描き切る作品にも慄然とした快感を覚えるけれども、近年のサービス過剰で返ってリアリティを欠いたホラーより、ソリッドで確かな「観たかったホラー映画」が此処にはあった。

それでもオリジナルと比較して、それなりにスラッシャー描写はキッチリ見せる所は見せるし、ローリー母娘の「女性たち」のアンサーストーリーに還元し直したのも、今の映画としてチューニングも絶妙。(そして、こちらも最近食傷気味の説教臭さはなく、スパッと切り上げるところが潔いし、だからこそテーマとして際立って、良い)

そして、なんと言っても「純粋悪」マイケル・マイヤーズを本当の意味で40年ぶりに復活させてくれた事にファンとして、嬉しく思う。
怪物は理解出来ないからこそ、怪物な訳で、故に魅力的であるべき。
ハロウィンシリーズの歴史が、その怪物を理解して、自分のものにしようとし、マイケルを矮小化してきた歴史であるとするならば、劇中のあの人物の顛末は必然であり、象徴。
柏エシディシ

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