HicK

ロケットマンのHicKのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.8
《愛の渇望・親の呪縛》

【エルトンの両親】
今作の肝である、両親の心の一部が欠けてしまってる感じ、よく伝わってきた。特に父が第二の人生を歩み性格も変わったかと思えた矢先、エルトンへの愛情の欠落は変わらないというところがなんとも可愛そうで…。悪気のなさに余計に腹が立ち、呆れる。

【親の呪縛】
ネグレクトまでいかなくとも、子供に対する親の関心が薄過ぎると、子供は愛を感じにくく、愛を感じないまま大人になり、自分が愛を表さなければならない時に初めて親の呪縛を知る。みたいな関係性、ちょっと分かる。

【エルトンの問題】
エルトンの様々な中毒も理解ができた。ドラック、セックス、アルコール、かんしゃく、様々な問題の根源(もしくは障害となっているもの)はエルトンが「愛の表現方法を知らないため」という一点に明確に絞られている。そのおかげで沢山の問題を抱えているものの、ストーリー的に意外と着地がスッキリしていた。

【キャスト】
タロン・エジャトン。どんどんすごい俳優になってる。彼の人間性も相まって吸収が速いのかな?劇中、好きな人を見つめる目には引き込まれた。これでまだ当時20代だとは信じられない。そして何より彼の歌声、最高だった。また、母役のブライス・ダラス・ハワードもとてもいい。実年齢以上の母親感。見る作品によって印象が全く違う女優さん。バーニー役のジェイミー・ベルには、「ユアソング」の時のエルトンを見つめるカットに引き込まれた。

【総括】
正直、ライブ以外のミュージカルパートが少し浮いて見えたものの、それ以外はエルトンの「愛の渇望」を一貫して描いていたので綺麗なストーリー展開だと思った。タロンの素晴らしい歌声と全キャストの好演が光る作品。そして、エルトンの素晴らしい楽曲に魅了された。

やっぱり「ユアソング」はイントロ聞いただけでグッとくる。小学生の時には菅野美穂主演の「イグアナの娘」の主題歌だった。
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