マヒロ

ポリス・ストーリー 香港国際警察のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
麻薬組織の捜査で大いに活躍した刑事のチェン(ジャッキー・チェン)は、その腕を見込まれ麻薬組織のボスの秘書であるセリーナ(ブリジット・リン)の保護を任される。警察であるチェンに対して非協力的なセリーナだったが、組織に不利な発言をする可能性のある彼女は、ボスにより刺客を仕向けられる……というお話。

デパートの吹き抜けを飛び降りるスタントシーンだけは何度も見たことあったが、本編通して初めて観てみた。
アクションシーンはやはり凄まじく、例のデパートの場面だけではなく、山の斜面に建てられた集落を車でぶち壊す大破壊や、バスを生身で追うチェン刑事のふざけつつも驚異的な身のこなし(バスター・キートンっぽさがある)など、目を見張るような場面が沢山ある。

同じくジャッキー・チェン監督・主演作品の『プロジェクトA』は、ギャグもありつつ割と芯のある話が魅力的だったんだけど、今作はややそのギャグがくどいのが気になるところ。全体的にはかなりいびつな作りで、前述の集落〜バスチェイス以降はほとんど目立ったアクションもなく、アニメのドラえもんみたいな間の抜けたBGMをバックにおとぼけチェン刑事によるおふざけのシーンが続く。正直ここら辺はかったるく感じてしまう場面も多くて、冒頭で上がったテンションがすっかり冷めてしまった。

終盤で濡れ衣を着せられたチェンが、身の潔白を証明するために奔走するところでようやく例のデパートのシーンに移り、あらゆるものを破壊しながら大暴れする 1対多数の大乱闘を見せてくれて、ここで結果満足出来た。
しかし、ここでのチェンのキャラの変わりようが凄くて、さっきまで「牛のうんち踏んじゃったよ〜トホホ」とかやってたおぼこい奴が、突然目ん玉ギラギラ汗ビチョビチョになり、同僚を人質にとってまで窮地を脱したり、憎き相手を過剰にボコボコにしたりと狂人のような振る舞いをするのが滅茶苦茶すぎて笑ってしまった。徐々に狂っていくとかではなくて本当に突然なので、二重人格みたいにすら見える。
まぁ、そういう大雑把さも映画の雰囲気に合っていて良いっちゃ良いんだけど。

(2023.133)
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