memmmiii

ふたりの女王 メアリーとエリザベスのmemmmiiiのレビュー・感想・評価

4.0
シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー出てるのに評価低いからあんまりなのかなぁと思ってたら全然良かった。ただ日本のサブタイトル「女王は私ひとりだけ」と、ポスタービジュアルが非常に間違った先入観を与えてるなぁと思った。
どう見ても2人の女王が争う話に見える。

いや2人の女王が争う話ではあるんだけど、メアリーとエリザベスは根底ではどこか尊敬しあってるし、連帯しているし、2人同士が争う部分もあるけどどちらかというと2人で(現代にもまだ通ずる)社会の圧力と戦ってるんだよ...原題のサブタイトルは「BOW TO NO ONE」で、つまりお互いにも屈しないし、周りの男どもにも屈しないという意思が感じられるんだけどな。

若く美しく聡明で世継ぎも授かるのに、とにかく周りの男性の権力のために使われてしまうメアリー。とてもパワフルで毅然とした女王なのに、ふとした瞬間にはクソみたいな男たちに対して何もできないのが辛い。その中で侍女たち・リッチオと育む友情というかシスターフッドみたいなものが癒しであり、その後の展開の絶望を誘う。

マーゴット・ロビー演じるエリザベスは天然痘で見た目の美しさというものを手放し、女王として"強くあること"を演じすぎたために"女性"であることも手放し、ロマンスも子供を産むことも、つまり当時の"女性らしさ"全てから追放されている。そんな中で「もし妊娠したのが自分だったら」というやるせない感情を影で表現したシーンは号泣してしまった。
memmmiii

memmmiii