ベルサイユ製麺

夜明けまで離さないのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

夜明けまで離さない(2018年製作の映画)
3.0
…今まで、TSUTAYAで敢えて手を触れないようにしていた、ある特徴を有する作品群が有ります。その特徴とは“監督”でも“制作国”でも無くてですね、…ジャンル区分で“エロティック”と書いてある作品!
勿論エロ自体が嫌いなわけは無いのですが、エロを摂取したければ現代は格段に効率の良い手段(エロ本の落ちてそうな土手を行ったり来たりする・出来の悪い大根を八百屋でじっと見る、等)があるわけで、そんなおこぼれエロを期待して志しが低いであろう映画に100分付き合うの勿体無いと思っていたんですね。
…と、ところがよく考えると、
⚫︎TSUTAYAのジャンル分けってそもそも信用出来るのか?チラッと再生して”エロティック”に仕分けしたけどそれは肘のアップだった、って事はないか?
⚫︎(こっちが本意!)エロを入れる条件でのみ撮れる事になった、ホントは志しの高い作品を見逃してしまわないか?『ドレミファ娘〜』みたいな作品とか…。
と言う事で、“エロティック”解禁します。
…因みに、あからさまにエロしかなさそうな作品やピンク映画は一先ずスルーします。

“エロティック・チャレンジ”スタート!!


取り敢えずセレクトしたのは、

『夜明けまで離さない』
監督:森岡利行
主演:宮地真緒、毎熊克哉

どこか影のある女、美咲。10歳になる息子と2人暮らしている。仕事はスナック、に擬態した売春屋(←というのがきっと有るのだと思う。)の嬢。ただし年齢的にはそろそろ結構厳しいらしい。彼女には裏の顔が有り、知人の刑事に情報を売る、言わばタレコミ屋。サツの犬。
店を訪れた無愛想な男、石岡。適当に美咲を指名して、二階のヤリ部屋に上がると美咲には目もくれず、カーテンの隙間から向かいの通りの様子を伺っている。彼が覗いているのは暴力団黒竜会の幹部。石岡は敵対組織所属し、ヒットマンに抜擢されたチンピラだった。


宮地真緒さんの名前は知っていて、どんな御顔かは朧げだったのですが、改めて見るとこれぞ宮地真緒!という御顔立ちですね!!…特別好きでも嫌いでも無いです。
それよりですよ!毎熊克哉さん!!『ケンとカズ』で初めて見て以来、あの昭和風のゴンタ顔が忘れられなくて、追いかけ…たいのに微妙な作品に出がち!…なので、今回“エロティック・チャレンジ”スタートした事によって今後うんとおっかけやすくなります!…出来れば普通に良い作品に出て欲しい…。

ストーリーは、サックリ言えばザ・Vシネ。
👉指名しておきながら何もしてこない石岡に、ボンヤリと好感を抱きつつも、ヤクザもんに良い記憶が無い美咲はなかなかコミュニケーションがとれない。→しかし、石岡がたまたま助けたいじめられっ子が美咲の息子だったことをキッカケに、二人は(プラトン様的)交友関係に。
→紆余曲折有り、出頭する事を決意した石岡は、最後に旅館から咲江に電話をかける!堪らず石岡の元に駆けつける咲江⤵︎
《《《《エロティック展開》》》》
そして、ザ・Vシネ的結末!となります。

正直、脚本はAIでも書けそうな平均的ヤクザもんストーリー。撮影、編集もノームコアで、劇伴はかなりマズいレベルです(マジで劇伴がもう少しピリッとしてればだいぶ印象変わりそう)。演技はテレビドラマ的で、慣れれば別にどうとも思わないのですが、ラストの顔の演技だけで全てを物語るべき宮地さんの表情が、プレッシャーからか完全にフラットになっていて、結果的に物語の後味までフラット化されていたのは斬新でしたね。…自分は毎熊さん目当てだったので観れましたが、演者に思い入れが無いと結構厳しいかもしれません。全体的におススメはし難い。
…折角なので“エロティック”方面について。
舞台が売春屋なのでストーリーの必然で自然にエロを見せられています。序盤に脇役の方が脱ぎ、意図的に安っぽい絡みを披露します。掴みのおっぱいですね。
中盤、宮地真緒さんが嫌な客の相手をするシーンが有りますが、ここでは着衣のままという設定なのでお脱ぎになりません。
で、ラスト前の毎熊さんとの絡みで初めてお脱ぎになります。彼女の佇まいのせいか変にリアルに思えて結構良かったのですが時間はかなり短めです。…そんなに濃厚って事も無く、正直一般映画でもこの程度の濡れ場は頻繁に見られますし、この程度で“エロティック”呼ばわりは逆に可哀想にも思えます。…が、他に何かウリにする点が有るかと言われると…、ねえ。

今作に限って言えば、エロ系のシーンを全て格闘シーンに置き換えても成立するような気がしました。二つのジャンルには何かしら根底で通じるものが有るのかもしれませんね。……肌の…露出が多いとか?

全体的にあまり良い出来とは感じられませんでしたが、自分は毎熊さん効果で意外と観れてしまいましたし、嫌な気分にもならなかったです。ひとまずここを基準点☆3.0として、今後も折を見てエロティックチャレンジしてみます☺︎
因みに、“エロティック”をウリにしていない作品で、いつもエロティックなシーンに打ちのめされてしまうのは例えばレオス・カラックス作品。酷すぎてシュンとしてしまうのは『アノマリサ』、『チーム★アメリカ/ワールドポリス』などですね。極端。