翼

mid90s ミッドナインティーズの翼のレビュー・感想・評価

3.9
トレインスポッティングに並び90年代に生きた私たちは観るべき映画。アナログからデジタル移行ちょっと前、世界が多様性を謳い始めるちょっと前の聖域のような時代を見事に切り抜き、当時の感情を呼び起こしては懐かしんだり悶絶できる丁寧な作品。

ラージシャツ来て腰パンしてスケーター気取ってたむろして…90年代のティーンエイジャーの刹那的な青春は眩し過ぎて、16ミリカメラに収まる肖像は息が詰まって直視できない。
クールさ、タフさ、ちょっとした悪みたいなものが良しとされる少年たちの世界に親がドタバタ入ってくることのみっともなさ。悪友たちを一喝した母親に「どうしてくれるんだよ!!」と叫ぶスティーヴィーのやるせない気持ちわかるなぁ。そして、庇護の下ですくすく育てた優しかった子供がタバコだ酒だドラッグだを覚えていく母親の気が気でない焦燥感もわかるなぁ。そんなのは必要悪で成長痛みたいなものと思ってほっとけば良いんだけど、兄ちゃんの感じを見るに母親も子育てに責任を感じているからこそ介入せずにはいられない。実際事故も起きるから尚更スティーヴィーを悪ガキ共から離したい気持ちがあるんだろうけど、それでも心配して病院の待合で夜を明かす彼らに面会を赦すシーンは地味だけど良いシーン。

ハタから見るとスケボーショップにたむろする悪ガキ共が、実際仲間内に入ると当然だけど個性があり背負った人生があり、彼らなりの生き方を貫きながらあの場所に集まってることがわかる。
レイ達の登場を特別なキャストとしての扱いではなく、街の風景の一つとして導入させる感じは実に巧み。


A24こーゆーのも作るのか…沼りそうで怖い

思いっきり内輪話だが、細くて無口でニキビで映画好きでスケボーそこそこってもうアイツのことじゃん。久々に連絡しようかな
翼