瓶底

mid90s ミッドナインティーズの瓶底のレビュー・感想・評価

-
主人公スティーヴィーの、無垢でニコニコした笑顔が忘れられへん。

自分より年上の人らがカッコよく見えて、ただ真似してみたくなる。そこから自我が芽生えて、それを抑圧してくる周囲に反発する。自分も子供の頃、そうやって成長してきたなと思う。

レイがスティーヴィーの為に板にデッキテープを貼ってあげるシーンが好き。静かなショップの中に貼り付ける音だけが響いていて、スティーヴィーのワクワクする気持ちが伝わってくる。

NasのTシャツを着こなす兄貴イアンも嫌な奴のようで、色々背負ってる一人の子供なんやと知る。もうほんまに、この街に出てくる子供たち皆に罪は無いよと言いたくなる。
レイがスティーヴィーに語りかけるシーンが印象的やった。彼かて高校生くらいの子供やのに、大人すぎる。皆、辛い経験から無理やり成長させられている。そんな子達が板1枚で心通わせ合う。最悪の状況からでも希望を見つけだそうとするのが人間なんや。

なんで子供がこんな目にあわなアカンのやと憤るのと同時に、じゃあ何が原因なんって考えると、頭抱える。理由は一つじゃない。起因するあらゆる要素が社会にはあるな。

ラストをあのビデオで締めくくるのは最高。

90年代のストリートカルチャーが好きな俺は何度も見返すことになりそう。

ふと、大人になってからはもう、走っておもいっきし転ける事って、なくなったなって思う。あの時の、ザラザラとしたアスファルトの表面、膝の擦り傷のヒリヒリした痛み、滴る赤い血の温かさを、思い出させるような映画やった。
瓶底

瓶底