瓶底

WEEKEND ウィークエンドの瓶底のネタバレレビュー・内容・結末

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アンドリュー・ヘイ作品を観てみたくてまずはWEEKEND。いや、ムッチャ良かった。

日常的な空気感を再現したようなライティングやカメラの長回し。二人のやりとりや仕草、息遣いがほんまにリアル。可愛かったり、気まずかったり、息苦しかったり。ただの人間が二人。14階の一室をほんまに覗いてるような、見守っているような感覚に陥る。
グザヴィエ・ドラン作品でも使われてたけど、やっぱり窓の効果ってあるんよな。ラッセルが家の中では自分がゲイであることを気にもとめないと言っていたように、外/内は、社会/自己の差だ。部屋の窓から見る外の景色、歩いていくグレンの姿。逆にアパートの外側から見える、窓の中の部屋。そんな画も表現のひとつやった。

深夜のコカインパーティーの後の二人のカンバセーションが熱くて、個人的にはここが一番の見所やと感じた。
ゲイ同士でも対象的な二人が反対意見を延々と言い合う様子に、セクシャルマイノリティというだけで日常的に抱えるストレスや受ける差別、抑圧がどれほどなのかと感ぜずにいられへん。(しかしそれでも実際は足りないくらいだろう)("ゲイ同士でも"と言ったが、たかがセクシャリティをラベリングしてるだけで、各々が別々の人間やからそんなんは当たり前のこと)
ぶつかり合った後は極上のマリワナで仲直りするのも良かった。

でも、布団の中で向き合ってカムアウトごっこするシーンもよかったなぁ。セクシャルマイノリティはカムアウトして一人前とか、当事者にはあるあるな感覚なんかなぁ。そんな規範もほんまはマジョリティ優位の社会が前提でしかないよなぁ。とか、色々、考えながら。

週末のたった二、三日間での出会い。ホームで見送るシーン、泣いてしまった。なんで見送りに来るんって、辛い気持ちが痛いほど伝染する。どうしようもない複雑な感情と、それでも出会えて良かったという清々しさが入り交じる。安易なハッピーエンドじゃない。そんなヤワな話やない。だからこそ、見終えた後もずっと残るし考える。

途中ほんま唐突に「えっ!?そういえばなんで同性愛者って差別されなあかんのやっけ?」と、至極当たり前な疑問が浮かんだ。フツーに考えて、意味わからんすぎることだらけやねん、この世の中。
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