さうすぽー

ROMA/ローマのさうすぽーのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.8
自己満足点 92点

淡々としているのに、非常に胸が締め付けられました。

「ゼログラビティ」や「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロン監督による自らの自伝的要素を含んだ作品であり、今年のベネチア国際映画祭で最高賞を獲得した映画になります!

Netflixオリジナル作品というだけで片付けるには非常に勿体無いくらいの傑作でした!

アルフォンソ・キュアロンの作品は、僕は先程上げた作品と「ハリーポッターとアズカバンの囚人」の3作品しか観てなかったのですが全部大好きな作品だったので、僕自身キュアロン作品というだけでかなり期待していました。
そして、今回またしても素晴らしい作品だったと思います。

内容は、70年代のメキシコシティに住む家族とその家政婦の日々の暮らしや人間模様を描いている作品。
いわばアルフォンソ・キュアロン版是枝裕和映画といったような内容です。

しかしこの映画で独特なのは全編モノクロの映像であり、劇伴の音楽は一切流れておらず車やレコードで流れるBGMのみなので、色んな意味でナチュラルです。

ナチュラルな点はもうひとつあります。
メキシコ映画だけあって、この映画に出ている俳優は恐らく全員メキシコ人ということもあってみんな知らないのですが、子役を含めたキャストの演技はみんな自然で素晴らしく、感情的な所はこっちまで感情的になりました。

個人的に噴いたのが、主人公の恋人が裸で武術を主人公に披露するシーンがあるんですけど、観たときに「何こいつフル○ンかましながらやってんだよ笑」と思ってたら、案の定ロクな奴では無くて(笑)
格好良いように見えて絶妙にカッコ悪い感じが出ていて良かったです!

また、キュアロン監督自身の得意な演出なのかはよく解りませんが「トゥモロー・ワールド」と「ゼログラビティ」で代名詞となっている「長回し」演出はこの映画でも発揮されていました。
特に終盤のとあるシーンは本当に圧巻です!

こういった作風なので、まるで昔の映像をドキュメンタリー映画風に映されてるように感じて、映画を観ているという感覚が全然しませんでした。
もちろん、この映画はドキュメンタリー映像ではなく俳優が演じていてストーリーがちゃんとある作品なのですが、映像の中にちゃんとした世界があるように感じました。

是枝監督の「万引き家族」でもそうだったのですが、
主人公の家政婦も、その同僚も、家族の母親も、そして子供も、この映画の中で本当に生きているように思えて、日々の生活の中で時に葛藤したりして暮らしている姿を確かに受けとる事が出来ました。

ただ!
この映画は演出や演技は完璧なのですが、上映時間が少し長過ぎるように感じてしまったのは否めないです。
2時間15分と、映画としては言うほど長いわけでは無いと思うのですが、果たしてこの映画で描かれてる内容の密度が果たしてそれに合う時間になってるかと思うと少し首を傾げてしまいました。
終盤にかけて素晴らしくなるのですが、
事実前半部分は少々退屈に感じる時もあり、「この映画あんまりかな?」とも思ってしまいました。

恐らく2時間ピッタリくらいにしてくれれば間違いなく今年ベスト1位だったと思う映画なだけに、少し勿体無いです。

あまり一般受けする作品では無いかも知れませんが、それでも素晴らしい映画なのは間違いないです!
是枝作品が好きな方でモノクロ映像が許せる方は確実にこの映画を楽しめると思います。
Netflixに入っていない方でも、1カ月の間は無料なので是非この機会に観ることをおすすめします!

2018年 ベスト4位