とみやま

ROMA/ローマのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

母親が母親であるということしか子どもの頃はわからなくて、ひとりの女性であるだなんて思うことすら出来なかった、という視点。そして、家政婦のクレオがひとりの女性として、女性の権利が蔑まれてた時代のメキシコで生きていくための視点。
これらが重なり合いながら、ドキュメンタリー的な撮影で見せていくのが、とてもとても感動した。

一定の距離感を持って、彼女の不遇、というよりも、不条理な日常を切り取っていくんだけど、ラストに近づくにつれて、悲しみとやりきれなさが積み重なっていって、どうしようもなかった。奥さんもヒステリックになってて、子どもたちにもクレオにも当たってしまうけれど、彼女もクレオと同じ不条理を抱えているんだよ! 父と母が男性と女性であって、本当につらい思いをしていたことなんて、子どもたちにはわかるわけもないことだけれど、それでも、生きていくためにはどうにかしなきゃならないことがある。
波打際の場面は、そんなことがつまっていて、太陽を背に映るクレオが大いに報われた気がした。

あと、とにかく子どもの描写が達者だと思う。子どもの描き方が上手な映画は、本当に面白いものばかりだなー。寝っ転がってる次男にクレオが「なにやってるの?」って言うと、「言えない。死んでるもん」。「じゃあ生き返れば?」と言うと、「できない。死んでるもん」。クレオが同じように倒れたから、次男が気になって「何してるの?」って聞いたら「言えない。死んでるもん」「ええー!どうしてー!!」
これだけでとても愛おしい場面が出来上がってて、本当に素敵。
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