コマミー

ROMA/ローマのコマミーのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
5.0
【太陽のように…】

※(すみません。去年の鑑賞です。)アカデミー賞が近付いてきましたね。という事で、今年最有力とされるこの作品をご紹介いたします。[光]について着目しています。↓

[「ゼロ・グラビティ」]を覚えているだろうか。壮大な宇宙の風景に見とれつつも、こんなにもハラハラした作品は、この作品しかない。
[アルフォンソ・キュアロン]は、常に[映像]に対する拘りを続けてきた。彼は、「レヴェナント」などの撮影監督エマニュエル・ルベツキと組んで、「世紀末の地球」や「壮大な宇宙の素晴らしさ」などを撮ってきた。

そんな彼の新作は、ある[家族]を中心に、メキシコの歴史の[移り変わり]や、その家族に雇われてる若い召使いの、[心情の変化]を描いたものだった。

だが、そこだけでは留まらないのが、キュアロンの作品の魅力である。今回は、[キュアロン自身がカメラを回した]らしく、より一層力が入った作品でもあった。
召し使いの女と、男の子がベランダのコンクリートで寝そべり、ゆっくりと周りの風景を映していくシーンがある。太陽と[調和]して、二人を明るく照らすように、町の風景もより一層輝いて見えた。モノクロなので、そんなの分からないのではないか?と思うかたはいると思うが、実はそうではないことが分かってしまった。

モノクロで映せるものを贅沢に使えるのが、まさに[太陽の光]なのではないだろうか。それをこの作品は、それをまんべんなく使っている。白黒であるがために、太陽の光を照らすと普通は眩しいだけのようだが、白黒だと、人間の汗や毛穴までが繊細に撮れるのだ。それがとても美しいのだ。とても…。

そしてこの作品は、家族全員を明るく照らすように、太陽の光がまたより一層[幸せな気分]にさせてくれるシーンがある。今でも、そのシーンが忘れられない。

この作品は、キュアロン監督の[子供時代の体験]を元に作られてる作品らしく、監督自身、かなり[特別な気持ち]で描いたのだろう。
動乱、変化にも負けず、その家族だけはいつも光が灯っていた。そんなどんなことにも崩れない、彼の家族に[愛]を込めて作っていた。

きっと監督の心には、今も、

この家族・召使い達のように、[太陽]が宿っていたから、この作品が誕生したに違いない…。


彼の映像に対する拘りが、分かってきたかもしれない…。
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