バス行っちゃった

ジャングル・クルーズのバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

ジャングル・クルーズ(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ロック・フェスに参戦(夏にロック様の映画群を観に行くの意)したかっただけで特に話に期待してはいなかったし、ロック様の芸のひとつである雑な落下も見られ、かわいいビッグニャンまで出てきたのだからもういいっちゃいいんだけど、物足りないは物足りない。

一幕目が丁寧だった弊害で先の展開があらかじめ想像でき、おおよそその通りに進んで行くという物足りなさもあったものの、それは子供を連れて見ることを考えれば安全装置としての役割もあるのだろうからまあまあまあ。

それより個人的にはリリーの花を求める理由の描き方こそ物足りなくて、彼女は世界の医療の発展のためにということで花を求めて旅に出るが、求める結果を享受する対象が極端に広かったり、逆に極端に狭かったりすると、その不自然さによって個人としての人生がどこか蔑ろにされてしまい、それが歪みや狂いとして出てきてしまうように思うのだけれども、リリーも行動の大胆さにおいてはその手の狂気をきちんと孕んでいるものの、その裏打ちの部分がまるで見えてこないので、何故そうまでして花を求めるのか、その根本にあるものが見えずにうまく感情移入ができず、他人が活躍するのを眺めている状態がずっと続いてしまった感じ。

別にその根本の部分をぐどぐど説明しろというのではもちろんなくて、感じさせてくれる一瞬があればそれで良かったのだけれども、自分の鑑賞力ではそれが見つけられず、ゆえ王子やフランクたちと動機を比較することによるテーマの掘り下げも面白くなる深さまでは掘って行けず、みたいな。

また、さきほどは安全装置としてのお約束なら意味はあるというようなことをぬかしてみたものの、それでもやはり、最初こそ楽しい絵が続いたものの次第に変化がとぼしくなっていく画面やどこかで見たことがある定番の展開ばかりになっていく構造でこの上映時間は冗長な気がしてしまい、まあガイドがしっかりしているというのは本家ジャングルクルーズ譲りではあるものの、しっかりしすぎてしまって想定内が続いてしまうというのはライド系(とでもいうのだろうか)として面白みに欠けるのではないかなどとも偉そうに。

ただ裏を返せば、リリーに余計な葛藤がない分、保証された娯楽性を勢いのまま楽しめるというウォータースライダー的な作りになっていたとも思うので、夏に劇場で映画を見ている感を味わうならこれはこれで別に別に。