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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のtugmiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「悩みが多いから、私は楽しい物語を書く」

冒頭のジョーが出版社に持ち込みに行き、ボロクソ言われるも採用されて走り出すシーンには胸が躍ります。

才能があってひたすら夢を追いかけるジョーと一番近いエイミーが一番現実を見てる。アトリエでのローリーとのやりとりで「才能はある」「才能はあるけど天才じゃない」と、もう夢から醒めている現実をローリーに言っちゃうところが聡くて泣ける…結婚は経済とか。でも「好きな人の2番は嫌だ」とか。

4姉妹それぞれの現在と過去が頻繁に入れ替わりますが、色調や上手下手を上手く使い分けててストレス無く見れるのはさすが…ベスの最期のシーンは過去と現実と対比が鮮やかすぎて泣きました。

ひとつひとつのエピソードはなんて事ないんですよ…それは姉妹の喧嘩や、家族の日常であり、恋愛や、人種差別や南北戦争も織り交ぜてあったりするけど。それぞれ夢を持っている彼女たちが、「女性は結婚しないと生きていけない」と言われる中で、それを自分たちの意思で選び、進んでいくのに胸を打たれます。

メグの結婚に「一緒に逃げよう」というジョーに「幸せなの」と言われ、少女時代の終わりという形で受け入れる。マーチ家は誰も女性性で否定しない。
あの時代の中で、時に家族のために自分の髪を売って、時に孤独に負けそうになりながらも、「自由な中年女性になりたい」と、「結婚はしたくない」と、堂々と意思を貫けるジョーに痺れます。
森のポストに入れた手紙を破って川に流すシーンは寂しかったけど、前金より著作権を譲らないジョーが好きです。

楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、彼女たちそれぞれの人生をずっと隣で見守っていたくなる映画でした。
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