RAY

ディリリとパリの時間旅行のRAYのレビュー・感想・評価

ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)
3.7
“大切なのは、想い”


非常に美しい映画でした。
アニメーションではあるものの、『ミッドナイト・イン・パリ』を観て感じた様な美しさ。
と言うのも、舞台は19世紀末から20世紀初頭のパリであるし、キュリー夫人、ピカソにマティス、プルースト等、多くのこの時代を彩った人が登場するのです。
物語こそ、ある事件を解決しようと奮闘する少女と青年を描いていますが、まるでその時代を旅しているかの様に描かれていると言う意味においてはそんな感覚を覚えるのも当然かもしれません。

ですが、この映画は決して、時間旅行を楽しむだけの作品ではありません。
この映画の主人公は女の子。ディリリです。
彼女はフランス人とニューカレドニア人の混血です。
彼女はたったひとりでパリにやってきたのですが、彼女にはある願いがありました。
それは、「いつか、貧しい人の役に立ちたい」と言うこと。
このフレーズを書くと、“貧しい人の役に立とうとする”と言う事が美徳であると受け取られてしまうかもしれませんが、そう言う意味ではありません。
大事なのは、性別も肌の色も年齢も、想いを持って行動することにとっては何の関係も無いと言うことだと思うのです。


地球。世界。国。
分類していけば、何かに分けることは出来る。
だけど、“生きている”と言うことを分類することは出来ません。
生まれてきたことには、ひとりひとりに必ず意味がある。
その意味を知って、感じて、考えて、そして、繋いで行く。
きっと、この映画がベル・エポックのパリを描いたことには、“タイムトリップ”以外の意味があって、それは“分類”についてや“繋ぐ”ことについて伝えたかったのではないかなと僕は感じました。


ベル・エポックの美しいパリを旅する中で、歴史を知り、人を知り、生を知る。
そんな時間を過ごすことが出来ると思います。
ご覧になられていない方もよろしければ。


観て良かった。
RAY

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