べーすべーす

37セカンズのべーすべーすのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.2
〜私で良かった〜

出生時に37秒間呼吸ができなかったために手足が自由に動かなくなってしまった夢馬(ユマ)の物語。漫画家のゴーストライターとして働いているものの、自分の作品を世に出したいと思いアダルト🔞作品の漫画を書くことに辿り着く。しかし、経験が無いことからリアルな作品が書けないとダメ出しをされてしまい……
基本、ホラー物と障がいとか難病で死んじゃう感動系の作品があまり得意ではなのですが、本作はとても良かった。この作品を挙げている方が多くて評判が良かったので楽しみにしており、見ることができて良かったです。
濃密な115分だったなぁ。個人的にボロボロ涙が出る感じではなかったのですが心をとても打つ感動の仕方でした。🥺
この主人公のユマさんがなんとも健気でかわいい。声もかわいい。なんとも愛らしい応援したくなるキャラクター。📣健常者がこの役を演じては意味がないということで、この佳山さんは100人のオーディションから選ばれたそうです。全てをさらけ出したり濡れ場まで挑戦されていて物語の深みがより一層増しています。🏩
ユマの生活は一見いろんな人に守られて安定している様に感じるがやはり障がいがあるという事で人生のいろいろな障害が巡ってくる。たぶんそのまま現状を維持して流されてしまう方が楽だったことだろう。
それでも彼女の探究心、情熱は誰にも止められない‼️
彼女を支える様々な人たちが現れます。過保護過ぎる母と言いますがもしも自分の娘がユマちゃんの様だったらあんな風になってしまうかもと思うとリアルで切なく苦しい。。。
そんな中でイカしたアダルト雑誌編集長や、器の大きな風俗嬢の舞さんその助手の俊哉さん。大東さんがメチャ良かった。また、男性風俗を紹介するために出ててくる渋川さんとか。キャラの濃い人たちとの出会いで彼女は変化をしていき、人生の根幹に関わるある事実にたどり着くのです。後半に驚きの事実が発覚してからこの物語のテーマの深みにハマっていくのです…。これは予想できなかった。

情景のカットが最初はミニチュア風になっているのが徐々にリアルな情景に変わっていくところとかも素敵な演出だと思いました。
宇宙からみたらちっぽけな話かもしれないけれど、それでもこの一瞬を生きている。🌍
だからこそ彼女の言葉に救われる人が必ず現れる。
監督はイーストウッドやタランティーノが所属している大手プロダクションに所属しているというHIKARI監督。凄い才能あふれる方の様でこれからの新作も楽しみです。

こんなステキな邦画もあって僕はうれしいです。