Aya

37セカンズのAyaのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
3.7
#twcn

主人公、ゆまが一歩踏み出す映画でもあり、うざい親がそして母になる映画でもあった。

アメリカでの勉強経験の長いエリート女性監督のHIKARIの初監督の日本・アメリカ合作映画なのですがスタッフはかなり多様。
(活動拠点が日本ではないので、日本人監督と言えるか微妙)

こちらも感染症の影響で劇場を逃した作品。
(ムーブオーバーを想定したスケジューリングのために)

主人公は脳性麻痺で車椅子の若い女性ゆま。母と2人暮らしで仕事は漫画家。オタクと実益を兼ねている。
アシスタントがいるが、表向きは彼女が作者となっており、給料はピンハネされ、サイン会も奪われ、自分が花束を持って駆けつけても素無視。
友達みたいなツラしやがって自分勝手で最悪だなこの女。

シャイな性格であまり仕事でも主張は強くないが、日常生活には介助が必要なため、母の過干渉(好きな服を着させてくれない、一緒にお風呂に入る等)、仕事のステップアップに障害がついて回る。
クソアシの女のせいで、超過酷スケジュール。

「気をつけよう」

って何を?

気を付けるのは明らかに終業時間外と思われる夜に出版社に電話かけることだよ!
止めろよ!
そりゃいるよ!
みんないるけど残業だよ!!やめてやってくれ・・・。

しかし、そんな彼女も一歩踏み出し、公園で見つけたアダルト系漫画雑誌から着想を得て、出版社への持ち込みに挑戦する。

編集長は私の大好きな板谷由香さん。
原稿にしか興味がない仕事人間(いい意味で)のため、エロ漫画を書くならSEX経験してから来いや!とキョーレツなセクハラをかますものの、仕事柄仕方がない面もあるか。

そして、ゆまは自分の人生には関係がないと思っていたSEXを経験するために出会い系でいろんな人に会っていく。
今まで意識をしていなかった、メイクやファッションもうまくなり、どんどん可愛くなっていく。
過剰にもなってゆくが・・・。
この子、声がいいね。

しかし、出会い系で会える相手はなかなか難しい。
やっと、この人なら付き合えるかも、と思った、いいことばっか言う男に待ちぼうけをくらい、新宿へ。

お洒落に厚化粧の彼女はさっそくドラァッグ・クイーンに目をつけられ
「どこにいくの?」
と聞かれ
「どこに行ったらいいですか?」
と聞くと
「あんた次第でどこへでもいける」
と。

その通りなんだよなあ。
そして一歩踏み出し、キヨさん演じる客引きに男性デリヘルを紹介してもらう。
するとやってきたのは・・・なんとマイティー!

奥野英太が来るのかよー!
60分2万かよー!
払うよーー!!

私だってマイティと話したことくらいあるもん!!
話したことしかないけどww
ちきしょう・・・(だんだん妬みがw)

そんなデリヘルのマイティが「車椅子だから基本料金が少し上がる」と言ったのは結構妥当かと。
身体の動きに制限がかかるので相手の身体的負担も大きくなるから。

優しく身体を扱い可愛い可愛いと言ってくれるマイティ。
やだー超羨ましいー!!!
ちくしょう・・・(2回言ったw)

しかし、ゆまの身体的障害部分のアクシデントで行為は中断。
ただちょっと割引してくれる。
マイティ・・・どこに電話すれば・・・。

ホテルから帰ろうとする際、同じように車椅子に乗った男性とラブラブのデリヘル、渡辺真紀子さんが手を貸してくれる。
だけではなく、真紀子さんはゆまを大人のおもちゃ屋さんに連れて行ってくれたり、美容院やお洋服の買い物にも一緒に行ってくれる。
しかもスタイルもファッションも素敵★

なかなかこの映画、私の数ある中でもお会いしたことのある俳優さんがたくさん出てる・・・。

ゆまはシャイな性格ではなかった。
大人しくはあるが、好奇心旺盛に新しいことへ取り組むし、チャレンジすることを恐れない。
そして、もう一つ彼女が獲得したのは、嘘をつくこと。自分のために。今までは相手のために嘘をついてきた。しかし今は自分のために嘘をつく。
嘘って大事だよね。

この子ちゃんと自分で働いてるし、20歳超えてるよね?
ばばあ過干渉すぎね?

わかるよ!
お母さんにとって子供はいつになっても子供なのは。
お母さんも苦労されてきたんだろうから、一概に悪とはいえないんだけどさ。
でもね、ある種の親子関係は子離れできないと、あとは悲惨な相互関係が待っています。

そして大きな役割を果たしてくれるのが大東俊介くん演じるデリヘルの送迎係。この子、真紀子さんの息子かな?と思ったけど違うんかな?
一時期、大東くんの家に身を寄せるゆま。
大東くんにラーメンあーんさせてもらえるだとう?!
ドライブ?!
お姫様抱っこ?!?!

もうこの子・・・よくね?
自分の好きなことが得意なことで仕事にできてるし。
徳積みすぎじゃね?

そりゃ身体が自由に動かないもどかしさや、車椅子移動の面倒臭さ、アシスタントのクズっぷりはつらいけどさ・・・結構等価交換できてねえ?

そして母親が隠していた出て行った父親からの葉書を頼りに会いに行ってみると、衝撃の事実が発覚する。

そして物語はまさかのロードムービーへ。
※大東くんも一緒です!!

この主人公の魅力的なところは親切にしてくれる、という理由で安易に大東くんに恋をしないところ。

そして過保護すぎるババアの真実・・・。
私、お母さんの気持ち全然わかってなかった!

テーマなどはガラリと違うものの、ハンディを抱えた人のSEXという意味で「岬の兄弟」を思い出した。
しかし、それも一部分にとどめ、興味や経験のうちの一つとして扱うことで、いつの間にかそれよりも大切なことが増えてゆく。

かけがえのない作品だなあ。

漫画作画を担当された甘党一斗先生の絵もいい塩梅だと思いました。

Aya

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