ヒット映画の公式とされる神話の構造に則った王道脚本。それを彩る大戦闘シーン。
なろう系が流行る昨今の日本だが、インドでも俺TUEE系が流行ったのが面白い。
全体的に大味な出来で、ラーメン硬め濃いめ多めの様相。
なんでこいつがこいつのこと知ってるんだ?という疑問も「バーフバリ!」の一言で押し切られる。
類い稀な身体能力も、神の子だからオッケー。女戦士の使命を自分のものとし、主人公が仲間に認められるスピードの早さたるや。
女戦士「瞳に炎が灯ってました!!」
首長「うむ、認めよう!」
自分「認めるんかい!!」
そこに葛藤はほとんど描かれない。本能のまま、女とやり、正義を執行し、神になる。
剣戟や馬術を訓練するシーンがないにも関わらず、主人公が最初から天賦の才が与えられているのは、神に祈ったのと、血筋らしい。
物理法則を無視したCGや動きが繋がってない編集、シーンごとにぶつ切りの音楽等、所々に荒さが目立つものの、勢いと音楽で押し切る。
迫力あるシーンも、ロードオブザリングやスターウォーズシリーズで死ぬほど観た展開。
主人公の葛藤や周りに認められるまでの過程がスキップされ、快楽特化型の映画のため、好みが分かれるところ。
最後、衝撃展開風で終わったものの、どうせ、この最強主人公が俺TUEEして終わるんやろ?と思い、少し冷めてしまった。
ただ、この大味な作りも神々のお話、つまり「神話」と捉えると合点がいく。
世界最古級の神話、リグヴェーダが生まれた国、インドでのヒットは必然だったのかもしれない。
監督自身、ヒンドゥー教の聖典であり神話叙事詩「マハーバーラタ」を参考に脚本を書いたらしい。
ただ、あくまで参考。全体のテーマはカーストの否定、女性の尊重で統一されており、むしろ反ヒンドゥー教的な映画だ。
シンゴジラにおいて、我々が3.11文脈を読み解きながら、鑑賞したように、バーフバリもインド人特有の民族問題を物語として昇華し、名作になったと思われる。
大味な映画の鑑賞後は家系ラーメンを食べた。