Mizuki

ジョーカーのMizukiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
この作品を見て
人を作るのは周りの人々への影響であり頼れる場所だとか自分を保つ為の拠り所が無ければ辛いだけじゃ無くて苦しいのだと思いました。

ストーリー
主人公のアーサーは財政難によって荒れたゴッサムシティで年老いた母ペニーを養いながら暮らしています。

アーサーは発作で笑い出してしまう病を抱え定期的にカウンセリングを受けながら精神安定剤を手放せない自身に苦しんでいましたが母の「どんな時でも笑顔で」という言葉を胸になんとか生活を送っていました。

アーサーには尊敬する大物芸人のフランクリンが司会を務めるトークショーから将来はコメディアンになりたいと夢があり勇逸の楽しみであるトークショーが始まればテレビに映るフランクリンの横で脚光を浴びる自分を妄想するも現実では鬱憤晴らしに不良少年からボコボコにされ、上司からは厄介者扱いで勇逸の友人が小人症の同僚ゲイリーでした。

日々の生活から奪還すべく以前自分を雇ってくれた富裕層のトーマスへ手紙を何通も送りますが一度も返事が返ってきた事は無く、同僚のランドルから御信用にと無理やり渡された拳銃を小児病棟の仕事中に落としてしまった事から周りへ恐怖を与えたと上司からクビにされ仲間だと思っていたランドルから裏切られていたのだと真実を悟りました。

職を失い、仲間から裏切られ、絶望したアーサーは地下鉄で酔っ払った男達に絡まれた女性を見て見ぬふりをするにも発作で笑が止まらず仕事様の服がピエロのカッコしていた事も重なり気に障った男達から暴行され護身の為に持っていた拳銃を発砲し射殺した事で混乱し駅から逃げてしまいます。
後日テレビのニュースで昨日射殺した男達はウェイン証券に勤めてるエリート社員で貧困層から富裕層への復習であり顔をピエロの被り物で隠している犯人は貧困層でただのピエロだと出演していたトーマスが嘲笑うのでした。

次第にアーサーの貯蓄は底を尽きカウンセリングや薬の処方を打ち切られた事から以前から自己で勉学していたクラブのステージに立ち笑いの発作を悩みながら見事ステージをやり遂げ高い評価を得て気分が上がり同じアパートに住むシングルマザーのソフィーと仲良くなり帰宅します。
自宅へ戻るとペニーがトーマス宛に手紙を書いており内容がトーマスの息子がアーサーである事と距離を置かれている事を知らされます。

アーサーのペニーの話が真実なのかウェイン邸へ向かい庭で遊んでいたトーマスの息子ブルースと出会い得意の手品を披露し執事のアルフレッドに
トーマスの隠し子であると事とペニーの話をしますがアルフレッドからペニーの妄想だと追い返され母ペニーへの侮辱と感じたアーサーは執事アルフレッドの胸ぐらを掴みますが側で見ていたブルースが恐怖から逃げる様に走って返ってしまいます。
仕方なく帰宅したアーサーは借りてるアパート前にパトカーや救急車が騒然しており母ペニーがストレッチャーに横たわりされていきました。
アーサーは病院の前でギャリティ刑事から地下鉄の射殺事件の犯人だと目星を付けられていると悟りました。

病院のベットで眠る母に付き添うアーサーは病室のテレビから尊敬するフランクリンが司会のトークショーが放送していました。
内容はクラブのステージでネタを披露するアーサーの姿で驚きのあまり祝福を抱いていましたがフランクリンはアーサーをジョーカーと呼びネタを馬鹿にしたり振る舞いを嘲笑いました。
尊敬していた人物から馬鹿にされたアーサーはフランクリンに対して失望してしまいます。
そして街では市民がピエロのカッコをして富裕層への抗議デモを行いトーマスへ批判する声が上がっていました。

翌日、トーマスが抗議デモが起こっている事をしりアーサーは劇場へ侵入、ペニーの真相を聞き出そうするがアーサーが養子であり、ペニーとの肉体関係はなく、彼女は逮捕され入院したこともあると告げられます。
話を信じられないアーサーに加えてペニーを「イカれた女」と呼び笑いの発作が起き不気味に思ったトーマスはアーサーを殴った後に「息子に近付けば殺す」と警告してその場を去っていきました。
そして、失意のアーサーのもとに、フランクリンのトークショーのスタッフから電話が鳴りました
内容はアーサーが披露したクラブでの映像の反響が凄く、翌週の番組に出演して欲しいという提案だったが自分を笑い者にするつもりだと悟りつつ承諾します。

トーマスの真相を知るべくアーカム州立病院を訪れて事務員にペニーの過去のカルテを確認するも
事務員はペニーに酷い妄想障害があり自分の子供の健康を害したことで有罪になったことを読み上げカルテを渡すには本人の署名が必要だとアーサーに告げるがアーサーはカルテを強奪して中身を読み進め、トーマスの話が真実であること、自分がペニーの恋人によって酷い虐待をされていたこと、虐待する恋人をペニーが止めなかった理由が「虐待されても笑っているから」だったことを知る。全てに絶望したアーサーは大声で泣きながら笑い崩れました。

外の雨によりずぶ濡れの姿でアパートへ帰りソフィーの部屋へと入るがソフィーはまるで初対面であるかのように怯えていました。
そう、アーサーはソフィーとの仲を深められず全てアーサーの妄想である事を理解します。
自分の部屋に移り笑い続けるアーサーは、ペニーの病室に佇み、悲劇だと思っていた自分の人生が実は喜劇だと気付きアーサーはペニーの顔に枕を押し付け窒息死させてしまいます。

アーサーは自宅でフクランクリンとの会話を想定し番組の最中に拳銃自殺するためのリハーサルを行いました。
放送当日、自宅で髪を緑に染め上げピエロのメイクを施すアーサーの元へ母ペニーの死を励ましにゲイリーとランドルが訪問します。
この時にランドルはアーサーが地下鉄殺人の犯人であることに感づいており、拳銃の出所について証言の口裏合わせをしようと自己中心的な彼にアーサーはランドルを射殺します。
酷く怯えたゲイリーにマレーの番組に出演することと、唯一優しく接してくれた事から感謝を伝え彼に気概を与えず優しく家から返すのでした。

ピエロのメイクを完成させたアーサーはアパートを出て踊りながら階段を下りますが駆けつけたギャリティ刑事を見つけ地下鉄へ駆け込むと、そこは偶然にもこれからデモに向かうピエロで溢れかえっていました。
刑事たちは電車内で掴み合いとなり無実の市民を誤射してピエロたちの暴行を受ける事態に陥ります。
無事にスタジオに到着したアーサーは、控え室で対面したフランクリンへ自分のメイクは反社会組織やデモ関係と全くの無関係であることを告げ、「自分を本名ではなくジョーカーと紹介してほしい」と頼みます。

生放送が始まり登場したアーサーだが、フランクリンに披露して欲しいと頼まれたネタ帳取り出ししノートを見ると、1人で行っていたリハーサルとは違う行動を取り始めるのでした。

アーサーまず地下鉄殺人の犯人であることを告白し続いて社会の不条理を主張し始めます。

アーサーの主張に対してフランクリンは全ての人間が最低なわけではないと反論しますがアーサーは「僕を笑い者にしようとしてるフランクリンもあいつらと同じだ」と非難します。
そして怒りに身を任せてフランクリンを射殺したアーサーは、逃げ出す観客をよそにテレビカメラの前でステップを踏み、マレーの決め台詞「That's life!(それが人生!)」を真似しようとするも寸前で放送は中断し、その場で逮捕されてしまう。

アーサーの凶行をきっかけに街のいたるところで暴動が起きる中、パトカーで護送されるアーサーがその光景を美しいと表現した直後、パトカーに暴徒の乗った車が激突する。

街では富裕層の人々が悪辣な暴行を受けており、家族で舞台を鑑賞していたトーマスは騒動を避けるべく路地へと逃げ込むが、それを見ていた1人の暴徒によって妻と共に射殺され、息子のブルースだけが生き残る。

追突されたパトカーに乗車する中で気絶から目覚めたアーサーはその場に立ち上がると、自らの血で口元のメイクをグラスゴースマイルのように変えた後、周囲を囲むピエロ姿の暴徒たちがあげる歓喜の声に両手を広げ受け止めます。

場面は変わり、ノーメイクのアーサーが手錠を付け煙草を吸いながら精神分析を受けていた。「ジョークを思いついた」と笑う彼にカウンセラーはそれを話すよう頼むが、アーサーは「理解できないさ」と断り、代わりにフランク・シナトラの『That's Life』を口ずさむ。部屋から出たアーサーは廊下に血の足跡をベッタリ残して歩を進め、突き当りの窓際で陽光に照らされながら踊り始める。すぐに病院の職員に見つかると、アーサーは右へ左へと逃げ回るのでした。


数々の悲しみの連鎖から少しの希望が見えますが一気に底へ突き落とすフランクや自己中心的なランドルに失望しました。
特にトーマスやペニーの関係から見えてくる幼少期のアーサーをこれからも悲しみを抱いて生きていかなきゃいけない事から涙が…
アーサーと似た様な境界にいる小人症のゲイリーだけが友達で良き理解者なのだろうけど自分に歯止めが効かなくなった事や妄想から優しいゲイリーにすら手を上げてしまうんじゃないかと言う自尊心から部屋のロックに手が届かずランドルの死体が転がるアパートの一室で怯えるゲイリーに優しく外へ出してあげたのだと思いました。
このシーンでゲイリーも始末されるんじゃないかと(はよ逃げろゲイリー!)と応援していました。この時のアーサーは不気味でホラー要素しかなかったです。
でも誰でもここまで大きな悲しみに出くわすと自分が消えて狂気になるのは無理ないと思います。
現代の社会にも罪はあると思うし彼をここまで作ったのは周りの人々の影響ですよね。

僕は今後も知らない人への配慮を考え優しくしていきたいと思うし優しさは周りへ水面の波紋の様に広く低コストで広がって行けたら良いなと思いました。
Mizuki

Mizuki