リーアム兄さん

ジョーカーのリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
スコセッシ監督のキングオブコメディ、タクシードライバーをベースとしてジョーカー誕生までを描いた作品。コメディアンの地位を奪う側、この世は腐ってる俺が銃で成敗してやると自分の世界のヒーローを演じていたロバートデニーロを起用し、本作ではジョーカーにジャックされる側を演じる。ウェイン家との確執、生い立ち、トゥーレット症候群など我々の知るジョーカーの振る舞いに至るまでの原点が描かれており、微弱な感情の変化が繊細に描かれている。ピエロは自分を犠牲にしてでも笑いを取る、だけどピエロメイクの目の下には小さな涙が描かれているように実は悲しみを抱えている。ジョーカーが人を傷つけるたびに左目の下に涙起因と思われる下に垂れた青い塗料が現れる。愛を知らない、だけど優しくしてくれた人には危害を加えない、そんな辛うじて人間らしさが残っているかのようなメイクが印象的であった。タクシードライバのトラヴィスのようにとある事件を犯し、ジョーカーはゴッサムシティの見捨てられた者達を煽り暴徒化させる。まるでトランプ大統領を信じMAGA(Make America Grate Again)キャップをかぶる信奉者たちのように‥今のアメリカとダブらせる作りとなっておりリベラルよりの論調であるアカデミー賞狙いが見てとれる。主演男優には確実にノミネートしそうだがヒースレジャーほどの演技かというとそうではないと感じた。ダークナイト公開時のような劇場で銃乱射する輩が出る可能性のある映画、今後のブレイキングニュースに注目である