わたがし

ジョーカーのわたがしのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
 やっぱり撮り手がストーリーを武器に歯ぎしりしながら必死に何かしらを客に伝えようとしてるような映画が大好きだなあと思った。不細工で威圧的でクソ偉そうな映画が。八方美人的サービス精神まみれのクソ超面白い映画の何倍も何倍も観応えがあるし価値があると思うんだよなあ
 アーサーがジョー化ーしていく過程が貧乏で……病気で……っていうテンプレなのはもう何か前情報で知っちゃってるからなのか全然気にならなかった。テンプレはテンプレでも「ちゃんとこの世界で起こってることなんだぜ」って胸張って言えるぐらいの世界観のリアリティがちゃんとあって、しょうもないコミックじみたツルツルの美術もCGももちろんなくて、ちゃんと地に足つけて踏ん張ってる映画。それだけで、それだけでわしはもう泣いてしまいますよ、という気持ちです。本当にいいリアリティ、安心する映画。
 射殺描写の何たる素晴らしさよ!!これは全編通しで言えることなんだけど、ドキュメンタリー調のゆらゆらカメラの視線+あくまでアメコミ映画っていう感覚で多少色付けされてる美術とか照明、っていうコンボが本当にスマート&クールで、それによって特に射殺シーンの「人をマジで殺めちまった」感とか、ライティング相まっての痺れる画的なかっこよさ、そして血の色が最高です。これは本当にいい殺人だと思います。2019年ベスト殺人ではないでしょうか、今年あんまり映画観てないけど
 それ以外には割と「ええ…」ってなるぐらい説明!!って感じの回想シーンとか「おお…」ってなるぐらいダラダラ続くエンディングとか、いろいろいろいろあるけど、トータルでは好きな映画だなあって感じ。でもこの映画めっちゃ好きだァ!!!!って言ってる人間とあんま友達になりたくないなあ
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