メリー・コルヴィンについては全く存じ上げず。確かに格好良く、美しい女性だ。
一方でPTSDで、ウォッカとタバコに依存し、その眼に灼きついた惨劇に苦しむ姿は息を飲んだ。幻聴や幻覚というよりは、灼きついてその身にこびりついているという方が正しいように思う。ぎりぎりだが正気は保つ彼女は非常に強い。そして危うい。そしてかなり女性らしい。恋多き女性で男切れはなさそう。だが、生きていることを実感するために見えなくもない。或いは帰る場所なのだろうか。いや、そんな生易しいものではないのだろうな。
高級下着を身に着けておくというのはぜひ見習いたい。
取材は当事者達の物語を集める。戦場が怖くて嫌でたまらないのに、駆り立てられるように戦場に行く。
それはもう使命感とは曰く言い難い。嗅覚のようなものか。危うい方、危うい方へと進んでいくのだ、何としても。ドキュメンタリーで結末がわかっているだけに、観ていて身につまされる思い。
しかし、あの中継をしたのは偉業だろう。真実とはこうも危険を侵さなければ知ることはできないのか。いったいどうしたら良いのだろう。
周りも巻き込んで彼女は突き進み、危険に晒してしまうが、愛されてはいたのだろうと思えるのが救い。
エンディングテーマが妙に痛ましくて不快感さえ抱くのだが、それを超えたものが耳に灼きついてしばらく離れなくなった。この曲がこの映画そのもの。